強い意志で変化に対応していく。
そこに迷いはありません。
代表取締役社長
1980年株式会社日本長期信用銀行(現:株式会社新生銀行)入行、2001年リテール業務推進部長。
2001年12月アイワイバンク銀行(現:セブン銀行)入社。2006年6月執行役員業務開発部長、2010年6月取締役常務執行役員企画部長、2016年6月取締役副社長執行役員を経て2018年6月現職に。
富山県出身。座右の銘は、ある高校野球監督の言葉より「人生は敗者復活戦」。
“徹底力”こそセブン銀行の強み
セブン銀行の開業は2001年です。既存の金融業界の誰もが「成功するわけはない」と見ていた、いわば逆風の中での船出でした。しかし、私たちには成功につながる要素がありました。
ひとつは、セブン&アイグループという日本一の小売業の店舗ネットワークと、そのお客さまという絶対的な強みを持っていたことです。全国くまなくATMを設置する場所を持ち、利用される潜在的なお客さまがいらっしゃいます。開業前にそのような確かな基盤を持っている銀行は、かつてなかったでしょう。当社にしか持ち得ない、圧倒的な強みでした。
また、金融業界の出身者と小売業の出身者、さらには他業界の出身者と、多様なバックグラウンドを持つ人材がそろっていたことも強みでした。既存の金融業の枠組みにとらわれない斬新な発想力と行動力は、そうした人材の多様性から生まれています。
そして何よりも、私たちは「徹底力」を持っていました。これは一つのことをとことんやりきる力、極める力です。ATMの設置場所にしても、操作する画面のレイアウトにしても、何がベストかを突き詰め、すべてのATMに徹底させるという地道で誰も真似のできないことを、私たちはやり続けてきたのです。こうした姿勢は、セブン&アイグループに共通するDNAだと確信しています。

視点は“ATMの次”へ
「変化への対応と基本の徹底」が、セブン&アイグループのスローガンです。この精神は当社にも通じるもので、単純な入出金サービスからスタートした当社のATMサービスも、ノンバンクのキャッシングサービス対応、海外発行カードへの対応、海外送金サービスの開始、スマートフォンによるATM取引き、ATM受取(現金受取サービス)の導入と、環境の変化に柔軟に対応することで利便性を高め、強さに磨きをかけてきました。変化こそビジネスチャンスと受けとめて変革を続けてきたのです。
今後も、基本的にはATMのさらなる進化を軸に新たな成長を目指していきます。例えば手軽に買えるシンプルな金融商品を開発して、セブン‐イレブンで「おにぎりと一緒に金融商品も買う」といった提案も考えられます。あるいはAIを活用して、より効率的なATM運用の仕組みを考案できるかもしれません。そうしたイノベーションはまだまだ可能だと考えています。
また、海外展開にも力を入れており、既に米国では約13,000台のATMを運営しています。今後はこれをベースに現地の事情・ニーズに合わせたサービスを推進し、地に足の着いた展開をしていく方針です。
一方で、長期的な視点で事業環境を俯瞰し、決済手段の多様化という変化への対応にも前向きに取組んでいきます。当社の経営理念には「安全かつ効率的な決済インフラの提供」という言葉はあるものの、“ATM”という単語は入っていません。つまり当社はATMを武器とする銀行ではあるものの、ATMを前提とした事業を行っているわけではないのです。
従って、これからの社会においては、ATMに頼らない新たなサービスの提供も行っていることでしょう。新規事業創出というミッションを担う「セブン・ラボ」を核に、今後は“ATMの次”を目指した取組みを続けていきます。
※記事内容はすべて取材当時のものです。