CORPORATE STORY 25周年 企業STORY

Vol.1

異業種融合が生んだ「銀行免許取得」という奇跡~創業期を走った3人の証言~

~創業期を走った3人の証言~

誕生から25年、革新的なアイデアで挑戦を続けるセブン銀行のストーリー。第一弾は、創業期に奮闘した社員たち&松橋にインタビュー。異なるバックボーンを持つ社員たちが議論を戦わせた当時の様子や、それぞれが抱いていた思いについてお話を伺いました。

「バラバラな社内指示」
~総務部の新人・Kのお話~

小売業界出身者が3分の1、金融業界出身者が3分の1、その他が3分の1――異業種からの挑戦者が集い、スタートしたセブン銀行。業界ごとのカルチャーの違いは想像以上に大きかったそうで、新人として総務部に配属されたKは、こう振り返ります。「小売出身の方と金融出身の方では、指示の出し方から違うんです。小売の方はスピード重視で『疑問はすぐに聞け』。一方、熟慮を重んじる金融の方は『聞く前にまず自分で考えろ』。どちらも正しいのですが、真逆なんですよね」。思考法もビジネス用語も異なるため、小さな混乱は日常の風景となっていました。

当時の総務部はいわば「何でも屋」。秘書業務からおわび状の封入作業まで、頼まれた仕事は断らないスタイルでKががんばっていた背景には、忘れられない思いがありました。

就職氷河期の2001年。とくに女子学生に吹く風は厳しく、Kも苦戦を強いられていました。そんな中で迎えたセブン銀行の面接は、強く印象に残ったといいます。
「面接官が『うちの収益構造はすごいんだよ』と、熱く語ってくれたんです」。メイン収益のATM利用手数料は、ご利用されるお客さまではなく提携金融機関からいただく、いずれ各金融機関は自前のATMを持たない時代がやってくる、そんな新形態のビジネスである・・・そう説明を受けながら、「選考される側だった自分に本気で話してくれたことがうれしかった。そして何より、事業内容に心からワクワクしたんです」とK。ワクワク感を原動力に、現在もバックオフィスのスペシャリストとして会社を支え続けています。

女性社員

「銀行のやり方を捨てないと、
生き残れない」
~金融機関から転職組・小林のお話~

一方、創業期のセブン銀行でとりわけハードな環境に身を置いていたのが金融業界からの転職組・小林でした。監視コールセンター(現在のATMコールセンター)に配属され、お客さまからの厳しいご意見に耳を傾ける日々。第1世代ATMは当時の基準より高スペックだったものの、想定外のトラブルに悩まされました。そして厳しい声は店舗オーナーの皆さまからも届きます。まだセブン銀行ATM利用率が高くなかった当時、ATMのために貴重な商品スペースを割くことに難色を示されるのは、ごもっともなご意見でもありました。

社内でも逆境でした。小売業出身の社員が斬新なアイデアを提案する一方、銀行出身の小林たちが金融業界のルールを理由に防戦する――そんなやりとりが続いたある日、先輩社員に真剣な表情でこう告げられます。

「銀行のやり方を捨てないと、この会社は生き残れないぞ」。

男性社員

この言葉を聞いて、小林はハッと初心に立ち返りました。社内でこそ「守り」の存在でしたが、セブン銀行への転職は小林にとって大きな挑戦だったのです。そして、見送る側の同僚や上司の辛辣な言葉が、深く心に残っていました。

「肉やおにぎりを売る感覚で金融はできない」

「そもそもATMは収益事業にならない」

そう、小売業界のノウハウだけでは金融業務は運用できない。だからこそ自分にはやるべきことがある。唯一無二の「セブン銀行」をつくって、いつか必ず見返してみせる――。「銀行のやり方を捨てろ」という言葉は否定ではなく、進むべき方向を示す一筋の光でもありました。

「みんなのATM」という
ワンフレーズが社員の心をひとつに

当時、エンジニアとして現場に立っていた松橋は小売・銀行出身でない“その他”。「Kさんにはよくデモ機の感想を聞いていました。小林さんには、いつも突拍子もない提案をして困らせていましたね」と少数精鋭だった創業期を振り返ります。

「エンジニアとして私がやるべきことはシンプルでした。お客さまの声を聞き、データを取り、ATMをどんどん進化させていく」。そして進化の中で出てきたのが“みんなのATM”というキーワードです。誰もが集うコンビニだからこそ、機械操作が苦手な高齢者、外国の方、障がいのある方、すべての人が使いやすい“みんなのATM”をつくりたい――。

男性社員と女性社員

「今思えば、この“みんなのATM”というワンフレーズが、バラバラだった社内がまとまる核となりました」と松橋。

あらゆるお客さまの立場でサービスを考えるという方向性が共有されたとき、社内の異なるカルチャーは衝突ではなく、それぞれのノウハウを持ち寄ってイノベーションを生み出す“強み”へと変わっていきました。

自由な発想+テクノロジーが生んだ
オリジナルな進化

セブン銀行の発展は、「自由な発想を、テクノロジーによる進化でかなえてきた結果」と松橋。

その象徴的な例は、ATMの紙幣取忘れ時、取引がなかったことにして金額を戻す、「再計数自動取り消し」です。実はこれは、前例にとらわれない自由な発想だからこそ生まれた画期的な仕組みでした。

男性社員

スーパーやコンビニでは、レジトラブルなどで会計が滞っても代金・お釣りをすぐにお返しするのが常識です。一方、金融機関では正確性を最重要視。出金後の紙幣は枚数確定ができない場合があり、銀行員や警備員が現場で内部残金を目視確認しなければ返金できないルールでした。

「お客さまを待たせない」という小売の常識と、「お金の出し入れは正確に」という金融の常識。セブン銀行は無人でも正確に処理できる自動取り消しシステムを構築し、テクノロジーで両方の常識を守りながら解決する道を選びました。

こうして一歩ずつ積み重ねたセブン銀行の進化は、確かな実績へとつながっていきます。

結果は数字に表れた
~創業3年目、ついに黒字を達成

創業当時、新規参入企業が銀行免許を取得するためには厳しい条件がありました。それは、設立3年以内に黒字化すること。松橋の言葉を借りれば、「スタートした瞬間から、死の崖がすぐそこに見えている状態」でした。

生き残る道はただ一つ、走り続けてその崖を飛び越えること。

お客さまの声に改善のヒントを見いだし、社員同士で意見を戦わせ、すべてのノウハウを持ち寄った結果、見事に3年目での黒字化を達成。その日は社員全員で祝杯を挙げ、事業が軌道に乗り始めた実感が社内を満たしたといいます。

男性社員と女性社員

お客さま、社員たち、みんなの思いを乗せて走り続けてきたセブン銀行の物語は、まだまだ続きます。