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社長メッセージ

これからも社会変化を捉え 金融サービスの新しい価値を創出していきます。

Q1.2015年度を振り返り、業績とその背景についてお聞かせください。

A1.ATM設置台数をさらに増やし、5期連続の増収増益を果たしました。金融サービス事業も個人向けローン、海外送金等の利用を伸ばし、収益を増加させています。

2015年度は、基幹事業であるATM事業が順調に成長し、5期連続の増収増益となりました。国内のATM設置台数は、前年度から1,416台増加し、年度末で22,472台に達しました。台数増加がここ5年でペースアップしており、増収増益の主要因となっています。

新規設置の中心は、セブン‐イレブンの積極的な出店に伴うものですが、近年はグループ以外への展開にも力を入れております。空港や駅など、お客さまがふだん足を運ばれる場所にATMを設置し、より便利な存在としてさらにお客さまに近づくことを目指しています。海外発行カードに対応していることが、訪日客の増加による利用拡大という追い風を捉え、グループ以外への設置拡大に寄与しています。ATMの総利用件数は、前年度から3千9百万件増加し、7億8千2百万件となりました。

また金融サービス事業も、預金口座数・預金残高を着実に伸ばし、個人向けローンサービスや海外送金サービス、売上金入金サービス等による収益も順調に増加しました。今後は、こうした自社提供サービスの拡充を図ることで、全体の収益に占めるウェイトを高め、金融サービス事業をATM事業に次ぐ2つめの収益の柱に育てていきます。

Q2.2016年度の見通しはいかがですか?

A2.増収増益を計画しています。コストコントロールにも注力しつつ、収益の拡大に努めます。

2016年度は、国内のATM設置台数は引き続き1,200台を超える純増ペースを維持し、総利用件数も前年度の7億8千2百万件から8億件へと伸長する見込みです。これにより連結業績の予想数値は、経常収益1,231億円(前年度比2.6%増)、経常利益376億円(同1.1%増)、純利益256億円(同3.5%増)と、2016年度も増収増益の見通しを計画しています。

ATM事業を中心とする私たちのビジネスは、取組みの成果がすぐに営業成績として数字に上がってくるわけではありません。日頃からインフラをしっかり整備して、セキュリティの確保や利便性の向上を図りながら、設置台数を徐々に拡大し、それが結果として業績につながってくるものです。つまり、インフラの質を高めながら、一方で効率性の追求や投資・経費のコストコントロールを常に行い、当期の計画達成を目指しています。

今年度も、株主・投資家の皆さまのご期待に応えて計画を上回る成績を残せるように努力していきます。

Q3.海外事業の現況と今後の展開についてご説明願います。

A3.米国では2017年から現地セブン‐イレブンへのATM設置を開始します。これによりFCTIはATM運営台数を一気に拡大し、大きな転機を迎えます。

当社グループでは、2012年に買収した北米子会社FCTIと、2014年に設立したインドネシア子会社ATMiが、それぞれ現地でATMサービスを主とする事業を展開しています。

FCTIによる2015年度の北米事業は、期末現在6,625台のATMを全米各地で運営し、経常収益78百万米ドル(前年度比1.3%減)を確保しました。経常利益は、2017年から実施する米国セブン‐イレブンの店舗内へのATM設置に向けて、システムや人員体制などの先行投資を行っているため、赤字となっています。

米国セブン‐イレブンの店舗へのATM設置は、全米で展開する約8,000店を対象に、2017年7月以降、既存の他社ATMと入れ替える形でFCTIのATMを導入していくものです。これによりFCTIのATM事業は、運営台数を一気に1万5,000台規模に拡大し、大きな転機を迎えます。入れ替えは半年ほどかけて行い、2018年には全店設置を完了させる予定です。

米国セブン‐イレブンでは、設置後にシステム整備とサービス拡充を進めていき、日本におけるセブン‐イレブンとセブン銀行の間に築かれた関係と近い関係を実現したいと考えています。とはいえ、求められるサービスの内容は、米国と日本では異なる部分もあるので、現地のお客さまのニーズに合わせながら、少しずつ進めていきます。例えば米国には、国外から働きに来て、母国に送金している人や、銀行口座を持たずにプリペイドカードによる給与支払いを受けている人も多いので、こうしたニーズに応えるサービスは大いに支持されると思います。

ATMiによるインドネシアでの事業は、まだ立ち上げたばかりであり、ATMの安定稼働の実績を積み上げて、現地金融機関からの運営受託を目指しています。当社の海外展開における優位性は、やはりセブン‐イレブンの店舗網とブランドによるところが大きいのですが、インドネシアでは現状、セブン‐イレブンの出店数は多くありません。

しかし急速な成長を遂げている国ですので、リテール金融のインフラが一気に発展する可能性があり、当社はそこを見据えて、現地で事業をゼロから立ち上げ、将来求められてくる新しいATMスタイルを模索しています。そしてインドネシアで得られたものを、他の新興国でも展開していきたいと考えています。

Q4.世の中の変化を踏まえた成長戦略として、どのような取り組みを進めていきますか?

A4.さまざまなサービスを提供するインフラとして、ATMによる新たな価値提供を追求していきます。金融サービス事業では、今秋デビットカードの提供を開始します。

今、全社をあげてATM事業における「質の向上」に取り組んでいます。市場の中で価格競争に巻き込まれることなく、持続的に成長していくためには、常にサービスの質的向上を図り、それを差別化につなげていく努力が必要です。ATMサービスでは、セキュリティ面での安心感、画面表示のわかりやすさ、操作性、清潔感、さらにはコールセンターの応対なども含め、お客さまから見た評価が全て「品質」に含まれてきます。当社のATMブランドを高めていくためにもう一歩踏み込んだことができないか、社員に問いかけています。

その「品質」を基本に置いた上で、私たちは世の中の変化を踏まえた、新しいATMの価値を生み出していかなくてはなりません。個人向けサービスとしての決済・金融の変化について考えると、将来はインターネットを中心とするキャッシュレス化への動きが進んでいくと思われます。しかし、一方で現金はこれからも重要な決済手段であり続けます。従って、リアルとバーチャル、どちらもインフラとして必要だというのが結論だと思います。当社としては、こうしたお客さまのニーズや社会の変化に応えていく大きな役割があると考えています。

2017年度には、当社グループのATM設置台数が約4万台(国内2万4,000台+米国1万5,000台)という規模に到達します。特に国内のATMは、全国2万2,000台以上の規模で同品質のサービスを提供できるインフラであり、金融機関などから見れば、当社と提携することに大きなメリットがあるはずです。それはバーチャルな分野でも同様です。サービス利用開始時の現金入金手段として、途中で必要になる現金出金手段として、さらには、さまざまな手続きの操作端末としてもATMは活用できます。2017年春にスマートフォンを使ってATMの入出金取引ができるサービスを導入します。これにより銀行だけでなくカードを発行していない金融機関や資金移動業者等も当社ATMを利用することができるようになり、ATMのご利用シーンが拡がります。

このように、今後ATMというのは、単なる現金自動預払機ではなくなっていきますし、当社の事業展開としても既成概念の枠を超えた、新しいATMの役割を追求していくことになります。

また金融サービス事業では、2016年秋から「デビット付きキャッシュカード」のサービスを開始します。銀行口座と結び付いたデビットカードは、海外でのキャッシング機能やご利用の度に「nanacoポイント」も付与されるなど、お客さまにとって便利で使いやすい決済サービスです。

さらに、2015年度から、社内提案の募集やスタートアップ企業とのオープンイノベーションプログラムを通じて、新しいサービスや商品のアイディアを募り、実現に向けて取り組んできました。一方で、新しい情報技術の導入など、先進的な分野へのアプローチも強化するために、「セブン・ラボ」という専門組織を立ち上げました。2016年度中に、こうした取り組みが結実した具体的な新サービスをお示ししたいと思っています。

Q5.事業を通じた社会とのかかわりについて、どのように考えていますか?

A5.安全かつ効率的な決済インフラを提供し続けることで、社会の課題やニーズに応えてまいります。また、コーポレート・ガバナンスを正しく機能させ、今後もステークホルダーとの共通の利益を生み出してまいります。

「質の向上」によるお客さまへのサービス提供の追求や、今後の社会変化を見据えたATMの新たな価値提供のことは、すでにお話した通りですが、企業と社会のかかわりについて、CSRおよびコーポレート・ガバナンスの観点から、私の考えを述べたいと思います。

企業は、社会の恩恵を受けながら活動している存在ですので、その中で社会のさまざまな要請に応えていく責務があります。当社は、社会インフラの担い手として、お客さまに安全かつ効率的な決済手段を提供し続けていくことによって、社会の課題やニーズに応えていかなくてはなりません。それに加えて、雇用の確保や多様な人材の活用、環境保全、地域への貢献といった行動も社会から期待されているところですので、これらに真正面から取り組んでいかなくてはなりません。

「企業は誰のものか」という議論があります。経営の目的は、企業の持続的成長、お客さまや社員の満足の達成などいろいろありますが、これらと株式市場が求める短期的な収益の追求とは相反する場合もあります。しかし、現在ではコーポレート・ガバナンスが正しく機能し、社会的存在としての正しい生き方や、着実な企業価値向上へのチェックが働くことによって、株主・投資家の皆さまとお客さまや社員がともに分かち合える共通の利益が生まれてくると考えられるようになってきました。当社においても取締役会の活性化や株主の皆さまとの対話などを通じて、引き続き共通の利益を生み出してまいります。

Q6.最後に、株主の皆さまを含むステークホルダーへのメッセージをお願いします。

A6.引き続き業績の向上に邁進しつつ、当社にかかわる全ての皆さまとともに成長・発展し、利益を分かち合える企業として前進し続けてまいります。

まず株主の皆さまへの利益還元についてですが、2015年度の配当は増益を反映して期初の計画から50銭増額し、1株当たり8円50銭(前年度比50銭増)としました。その結果、連結配当性向は40.9%となりました。

当社は「連結配当性向35%以上」を還元方針に掲げていますが、これは最低限の水準であり、株主の皆さまの期待に応えるために、40%を目安としつつ配当の絶対金額を増やしていく方向で、近年増配を継続しています。当社は、経済や金融など外部環境の影響を受けにくく、安定した財務基盤の下で継続的に成長を果たしてきました。株主の皆さまにもこの実績をご評価いただき、長期的な視点からご支援を賜っています。その信頼を裏切ることのないよう、引き続き業績の向上に邁進し、さらなる利益還元の拡充に努めてまいります。

当社は今、次の飛躍に向けた先行投資を行っておりますが、中長期には企業価値をさらに大きく向上させていく実力と可能性を持っていると自負しています。当社にかかわる全ての皆さまとともに成長・発展し、利益を分かち合える企業として、これからも前進し続けてまいります。

2016年7月

株式会社セブン銀行 代表取締役社長

二子石 謙輔