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社長メッセージ

開業から10年。今後も、安定的かつ持続的な成長を目指します。

Q. この10年間の安定成長の要因をどのようにお考えですか?

A. 利用者・提携金融機関・セブン-イレブンという三者から、強い支持を獲得。

コンビニATMはこの10年間で人々の生活にすっかり浸透し、もはや不可欠な存在となっています。私たちは、お客さまのニーズから生まれたコンビニATMを生活インフラとして確立することに成功しました。直接的な利用者、提携する金融機関、設置場所であるセブン-イレブン。これら三者のすべてから、非常にメリットの大きいサービスとして認められたことが成長の主要因でしょう。

開業時、ATMは利用者が銀行へ出向いて使うもので、金融機関もATMに関しては自前主義をとっていました。しかし、それだけではお客さまのニーズを満たせていなかったのだと思います。当時、日本のコンビニは既に、生活に欠かせないインフラとなっていました。コンビニにATMを設置すれば、24時間365日、食料品や日用品を扱う店舗で、もう一つの必需品である現金も引き出せるようになる。これは、消費者から見たら非常に便利なことです。セブン-イレブンにはこうしたニーズがはっきりと見えていました。また、店舗にとっても、ATMの設置によって来店客数の増加が期待できます。金融機関に対しては、共通インフラの活用によってコストを抑制できること、実際に多くの利用者がいること等、セブン銀行ATMの価値を理解して頂き、提携先を拡げていきました。

今では、ATMユーザー、提携金融機関、店舗の皆様から、「なくてはならない存在」とまで言われるようになり、非常に嬉しく思うとともに責任の大きさを感じています。

Q. ATM利用に基づく手数料だけを収入源としたビジネスモデルが、これほど成功した理由は?

A. 小売業の発想で、コンビニでお金をおろすという新しい文化を創出。

私は、ATMを通じたフィービジネスでは経営が成り立たないというのは、当時の金融業界の固定観念だったと考えています。当時、世界的に見ればATMのフィービジネスは既にありましたが、日本ではこうしたビジネスモデルはありませんでした。1件1件はわずかな手数料でも、現金の出し入れという多くのお客さまの行動が、大変な量の手数料として入ってくるのです。セブン-イレブンは、日本全国に店舗がある圧倒的な存在で、強力なブランド力もあります。開業当時の来店客数から考えても、コンビニATMは十分に成り立つビジネスでした。また、銀行業免許を持つセブン銀行がATMを手がけることで、お客さまの信頼を得ることができました。

他のコンビニの場合は、ATMを管理している銀行が地域ごとに異なるため、同じコンビニであっても、地域によって操作画面や使い方が異なります。その点、セブン銀行ATMは、全国どこでも同じ使い方で利用できますし、画面もお客さまの取引銀行と同じものが表示されます。

2011年9月末現在のATM設置台数は約16,000台以上で、年間6億件以上のご利用を頂いております。2010年11月からは、第3世代ATMへの入れ替えも開始しました。ATMはまだまだ進化しますし、台数も増やします。

Q. 2011年度の業績と来期の見通しについてお話し頂けますか。

A. 総利用件数の着実な伸長により増収増益。2012年度も増収増益を維持。

2011年度の業績は、経常収益が88,318百万円、経常利益が29,557百万円、当期純利益が17,267百万円となりました。

ATM設置台数の増加と預貯金金融機関の取引件数伸長により、総利用件数が着実に増加したため、増収増益となりました。また、改正貸金業法の完全施行によるノンバンクの取引減少の動きは底入れしつつあります。

2012年度は、引き続きATM設置台数の拡大と新規利用者層の拡大に努め、総利用件数の増加により経常収益の増収を見込んでいます。

利益面では、第3世代ATMの導入に伴う減価償却費等の増加により、経常費用は当期実績を上回ることを見込んでいますが、経常収益の増加が費用増加分を上回るため、経常利益・当期純利益ともに増益を確保出来る見通しです。

Q. 次の10年に向けたセブン銀行の成長の姿を、どう描いていらっしゃいますか?

A. 短期的・中期的・長期的な成長という三つの柱を同時並行して、施策を推進中。

短期的な成長は、ATM事業の強化によって実現します。設置場所や新規利用者の開拓を進めてATMの利用者層をさらに拡大するとともに、セブン-イレブンが進出していない地域の金融機関にも提携を拡げていきます。

中期的には、海外送金や個人向けローンなどの金融サービス事業を推進し、新たな収益の実現を目指します。海外送金サービスは、まず2011年3月にインターネット等で開始し、7月からATMでのサービスをスタートさせました。主に、海外から日本に働きに来ている個人をターゲットとしていますが、簡単で使いやすいと好評です。少子高齢化が進む日本では、今後も海外からの働き手が増えることは確実で、そうした方々のコミュニティで認知を広めていけるよう、現在、取り組みを進めています。外国の方にとって支店での対面取引は不便で敷居が高く、一方、金融機関側も法人の大口送金を扱いたいと考えています。今回スタートした海外送金サービスは、こうした状況に合うもので、ここでもセブン銀行ならではのメリットが活かされています。

長期的には、海外へのATM展開や銀行事務の受託といった新規ビジネスを考えています。海外のATM展開に関しては、利用者のニーズに加え、売上金を効率的に管理したいというセブン-イレブン店舗側のニーズも非常に強いものがあります。現地の金融機関も、ようやく自前のコストでATMを展開する時代ではないと気付き始めたようです。海外へのATM展開については、今後も実現に向けて調査を進めていきます。一方、銀行事務の受託は、各金融機関が行っている事務作業を当社に集約することで効率化し、金融機関のコスト削減に貢献するものです。金融機関にとってセブン銀行は中立的な立場にあるため、こうした受託ビジネスの実現も可能と考えております。

Q. 2011年3月11日、「東日本大震災」という未曾有の災害が発生しました。どのように対応されましたか?

A. 強固な基盤により事業は継続。被災地には、いち早く移動ATM車を展開。

震災により、ATMというインフラの役割を改めて感じさせられました。

被災地域を中心に、震災発生時は約2,100台のATMが停止しましたが、他地域の約13,000台のATMには何の問題も発生しませんでした。私たちは全国にATMを展開しているので、震災の影響を受けなかった地域のお客さまには、サービスをきちんと継続できることが重要です。セブン銀行は、システムセンターやATMコールセンターを東西二つのエリアに設置しています。今回の震災発生時には、一時的に東京のコールセンターが使えなくなりましたが、大阪のコールセンターですべてのATMに対応しましたので混乱は発生しませんでした。また、システム面での問題も発生せず、スムーズに事業を継続できました。

被災地域のATMについては、3月末時点で停止していたのは約70台。これらは、店舗自体が津波で破壊され、相当な損壊を受けたものです。こうした地域に残っている人々にどうやってATMサービスを提供するか。しかし、被災地にはATMを設置するための条件が整っていません。そこで移動型ATMというアイデアが浮上しました。わずか1ヵ月強で準備し、装備は最小限ながらセキュリティを確保したATMを5月から稼働できました。電気も電話回線も復旧していない中、地域の方々が「よくここまで来てくれた」と言ってくださいました。他の銀行さんにも、どうしてこんなに早く実現できたのかと尋ねられますが、私は、セブン銀行の“身軽さ”ならではの行動だと思っています。「やる理由はただ一つ、お客さまが求めているから」というのがセブン銀行誕生の発端です。それと同じことを、今回、実践することができました。

Q. 株主還元に対する考え方をお聞かせください。

A. 状況に応じた自己株式の取得を視野に入れつつ、配当性向35%以上を引き続き維持。

株主の皆様に対しては、配当性向35%以上を維持しながら、安定配当の実現に努めてまいります。2010年11月〜2011年2月には、3万株・50億円を上限とする自己株式取得を実施しました(信託方式による市場買い付け)。

当社は、銀行としては非常に高い自己資本比率を有していますが、ATMという社会インフラを安定的に運営するために、ATMの装填用現金や設備投資の資金など、運転資金が必要となります。また、将来に向けた成長投資も必要です。今後も内部留保とのバランスを勘案しつつ、現金による継続的な安定配当を実現してまいります。

Q. 最後に、セブン銀行の企業としての在り方をどのようにお考えですか?

A. 社員の柔軟な発想力で創り上げていく、お客さまにとって身近な企業。

セブン銀行はまだ若い会社です。私は、皆の発想で創り上げていく会社、それができるような環境を提供したいと考えています。バルセロナにあるガウディのサグラダ・ファミリアをご存知でしょうか。その時代時代の人々が、何百年もかけて地道に創り上げています。そこで働く人はやりがいを感じていますし、見に行く人も感動する。私は、企業もそういう形を目指すべきだと思っています。

コンビニATMは元来、銀行の方からもっとお客さまに近づいていこうという発想でスタートしました。お客さまがいる場所、出かける場所にATMを置き、身近な存在になっていく。今後も、セブン銀行が築き上げた圧倒的なATMネットワークと柔軟な発想力を強みに、新たなビジネスを開拓したいと考えております。

株主の皆さま、ステークホルダーの皆さまには、今後ともご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2011年10月

株式会社セブン銀行 代表取締役社長

二子石 謙輔