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社長メッセージ

セブン銀行は、時代とともに、お客さまとともに、変わり続けます。

  • Q.2016年度の振り返りからお聞かせください。

2016年度は、6期ぶりに増収減益という結果になりました。国内事業におけるATM利用件数の伸びが想定を下回ったこと、海外事業における米国セブン‐イレブンへのATM設置に向けた準備が進み、先行費用が発生したことが主な要因です。

国内のATM設置台数は、主にセブン‐イレブンの出店に伴う新規設置やグループ以外への積極的な展開により、年度末で23,368台に達しました。ATM利用件数は、マイナス金利導入による消費マインドの低下などを主な要因として伸び悩みましたが、2017年に入り回復基調にあります。

決済口座事業は、2016年10月にスタートしたデビットサービスをはじめ、個人向けローンサービス、海外送金サービスなど着実に収益を伸ばしました。並行して、新しいアプリの開発や、新サービスの創出など、お客さま視点での新しいサービス提供への取り組みが活発になってきています。

海外事業については、2017年夏から開始する米国セブン‐イレブン店舗へのATM設置に向け、システムや人員体制などの準備を進めてまいりました。

その結果、全体としてはおおむね計画どおりに進み、成果を残せた1年であったと認識しています。

  • Q.2017年度の業績の見通しはいかがでしょうか。

2017年度は、国内のATM設置台数については900台を超える純増を計画しています。ATMの利用件数を向上させるための施策などを通して、総利用件数が8億2千万件(前年度比3.0%増)へと伸長する見込みです。また、2016年9月の第3世代ATMへの切替え完了に伴い減価償却費が減少するほか、効率運営を進めることで、利益の拡大を図ります。これにより連結業績の予想数値は、経常収益1,308億円(前年度比7.5%増)、経常利益386億円(同5.1%増)、純利益264億円(同5.1%増)と、2017年度は増収増益を計画しております。

2010年ごろより5年間は、セブン‐イレブンの積極出店に伴いATM台数を大きく伸ばしてきましたが、今後は改めて利用環境の見直しを行うとともに、グループ以外への新たな設置については1台ごとに条件を吟味し、高い稼働率が見込まれるところに絞って推進していきます。

  • Q.2017年度から2019年度にわたる中期経営計画を発表されましたが、策定の前提となる事業環境についてお聞かせください。

どのような事業であっても、いずれは成熟期を迎えます。当社が営むATMプラットフォーム事業は、急激に業績が落ち込む可能性は低いものの、提携金融機関の拡大による成長の時期は過ぎており、事業自体に内在する成熟期に近づきつつあると感じています。また、クレジットカードやスマートフォンの普及による決済手段の多様化に伴うキャッシュレスの流れや、お客さまの生活スタイル・消費行動の変化、新しいサービス事業者の金融領域への参入など、ここ数年のあいだに事業環境は大きく様変わりしてきています。

そうしたなか、これまで以上に先を見据えた環境変化を前提として、私たちの事業をどう変えていくか、何に注力していくべきなのかという検討を重ねてきました。将来にわたり主流となるサービスは何なのか、どの程度のマーケットの広がりになっていくのか、という見極めはまだ完全ではありません。しかしながら、変化のスピードに鑑みれば、見極めることばかりに時間を使ってしまうと、道筋が見えてきた頃には「時すでに遅し」ということになります。こうした危機感を前提にして動きながら見極める、まさに挑戦する3年間としています。

  • Q.中期経営計画の概要、注力テーマの考え方をお聞かせください。

「本業を伸ばしつつ事業の多角化を実現」することを基本方針としています。ここでいう本業とは、日本全国に設置している23,000台以上のATMを通じたATMプラットフォーム事業です。現状、全体に占める決済口座事業および海外事業の収益は合わせて14%程度であり、8割以上がATMプラットフォーム事業からの収益です。これを3年間で、決済口座事業と海外事業を合わせて25%にまで拡大させていきます。将来の当社グループの成長のうえで、3年間の目標を達成し、事業構造に厚みを持たせることは、非常に重要なことであると考えています。

経営指標としては3年間で、国内ではATMプラットフォーム事業で150億円、決済口座事業で50億円の計200億円、そして2017年度以降、大きく成長してくる海外事業は200億円とし、計400億円の経常収益の増加を目指します。経常利益については、計80億円の増加、ROEは現状水準の維持を目標に掲げています。

  • Q.ATMプラットフォーム事業の戦略をお聞かせください。

ATMプラットフォーム事業では、グループ店舗へのATM設置を継続しつつ、交通・流通・観光の各拠点を中心としたグループ外への展開を進めることで堅実に「規模の拡大」を図り、3年間で純増3,000台を目指します。そして、ATMの利用環境の改善や、エリアごとの特性を踏まえた販促策の実施などを通じて、一台あたりの稼働率を向上させる「品質の改善」に引き続き取り組みます。さらに提携先を広げ、ATMサービスの拡充を通じて「新たなATM利用スタイルの創造」に努めます。

新しいATM利用スタイルについては、私たち自身もATMを活用した新しい商品・サービスの検討を進めますが、同時に、我々のATMに魅力を感じ、新たな利用スタイルを提案してくれる事業者が増え、サービスが多様に広がっていくことを期待しています。これまで活用していただけていなかった事業者の方々に、私たちのATMを使うことで新しいサービスを展開できると考えていただける環境づくり、「セブン銀行のATMならこんなこともできるんだ、だったら使いたい」と真っ先に言っていただけるようなプラットフォームとしての価値を追求していきます。

そのためには、ATMの規模・品質ともに磨きをかけるだけでなく、ATMの機能を拡充することも重要です。その具体的な取り組みとして、2017年3月、スマートフォンによるATM入出金サービスの提供を開始しました。各種サービスにおけるスマートフォン活用の流れは、今後さらに広がっていくと考えており、カードを発行していない決済事業者や、スマートフォンによる決済サービスを展開している事業者の方々にATMを活用していただける環境が整ったという意味で、非常に重要なサービスの追加となったと思います。資金移動業者や通信系の決済事業者など、新しいカテゴリーの提携先に当社のATMを活用していただけるよう、近年の技術革新を取り込んだ次世代ATMの開発も含め、着実に進化させていきたいと考えています。

新たなATM利用スタイルの事例の1つとして、来春を目処に「現金受取サービス」の提供を開始する予定です。これは、たとえばインターネットショッピングで購入した商品の返品やチケット払戻しなどに伴う返金、賃金や報酬の受取りなど、近年拡大している企業から個人への送金ニーズに応えるサービスです。従来、こうした送金には、現金書留や郵便為替での送付や口座振込などで対応されるケースが多く、時間・コスト・手間が非常にかかっていました。これにより、メール等で送付された番号をお客さまが当社のATMに入力するだけで、個人の口座などを介することなく、その場でお金を受取ることができるようになります。これを実現することで、送り手・受け手双方の利便性が高まると考えています。サービス提供開始に向けて事業会社へのご案内を進めるとともに、より多くのお客さまにATMをお使いいただけるよう、新たなATM利用スタイルを拡大させていきたいと考えています。

  • Q.決済口座事業についてはいかがでしょうか。

お客さまの立場で利便性を追求してきたことで、セブン銀行ATMは進化を遂げ、社会インフラの1つにまで成長してきました。今後もその歩みは止めませんが、それでもATMだけに頼っているわけにはいきません。これまでも着実に実績を積み上げてきた決済口座事業において、個人向けローンサービス、海外送金サービス、デビットサービス、売上金入金サービスなど、現在提供しているサービスの堅実な成長により、50億円の収益拡大を目指します。これに加え、セブン&アイグループ各社と協力し「グループ金融戦略」に取り組むことで、プラスアルファの成果、あるいは、当中期経営計画の3年間を経過した後の成長に結びつけてまいります。

グループ金融戦略のポイントは大きく2つです。
1つは、日々ご来店いただいているお客さまに、より便利にお買い物をしていただくための「新しい決済プラットフォーム」の提供です。現在、グループの店舗には1日2,200万人のお客さまにご来店いただいており、現金、クレジットカード、電子マネーなど、さまざまな決済手段の選択が可能です。そのため、あまりに選択肢が多くなりすぎてお客さまに迷いが見られるほか、レジでの扱いも煩雑になっています。そこで、より簡単に決済を行えるよう、新しいスマートフォンアプリの構築を検討しています。

もう1つは、「近くて便利」でお得感あるセブン&アイグループらしい金融商品の開発です。新しい商品を開発するうえで最も重要なのは、その商品のお客さまは誰かを特定することです。一般的には、若年層、年配者、女性といったかたちで特定されるケースが多いと思われますが、私たちは「セブン&アイグループの店舗に日々ご来店いただく2,200万人のお客さま」であると捉えています。買い物にいらっしゃるお客さまが求めている商品・サービスを、多彩な業態を有する総合流通グループとしての強みを活かした金融版プライベートブランドとして提供することを目指すものです。流通グループとして持っている、お客さまと一番近い位置にある現場の考え方を金融商品に取り入れながら、グループの金融部門の各社と一体となって、「新しい金融サービスの創造」に取り組んでまいります。

また、子会社のバンク・ビジネスファクトリーが手がける金融機関の事務受託サービスは、提携金融機関の皆さまと共存共栄のビジネスモデルを有する我々の考え方と非常に親和性が高いビジネスであり、近い将来、事業拡大の機会が到来すると考えています。事務作業の共通インフラ化の実現に向け、環境変化に対応しながら、さらなるコスト削減などの工夫を重ねていきます。

  • Q.海外事業では、米国セブン‐イレブンへのATM設置がいよいよ始まります。

海外事業については、2017年8月より、米国子会社FCTIによる米国セブン‐イレブン約8,000店舗へのATM設置を開始します。まずは、セブン‐イレブン店舗への展開を滞りなく実施し、ATMの安定稼働に全力を注ぎます。そして、ATMの採算性を高めるため、運用の効率化にも取り組むことで、収益規模の拡大と利益率の向上を並行して進める計画です。

海外事業は200億円の収益増加を見込んでいますが、これはあくまでも今後の当社グループのグローバル展開における初期の姿であると見ていただきたいです。米国でATM事業の効率的なオペレーション実績を積むことで、次なる展開につなげていきたいと考えています。次なる地域、新エリアにおける展開については、すでに子会社を設立しているインドネシアを中心に絶えず研究を重ね、検討・準備を進めていきます。

  • Q.新しいサービスの創出に向けて、他社からパートナーとして選ばれる会社であるために必要なことをどのようにお考えでしょうか。

外部の方が何かを始めたいときに「まずはセブン銀行に話してみよう」と思っていただけるような存在であり続けることが必要だと考えています。

我々の強みを整理すると、1つ目は、全国23,000台以上のATMをプラットフォームとして、お客さまとの直接的な接点を持っているということ。2つ目は、セブン&アイグループの一員として持っている、集客力や店舗網などのグループ力。3つ目は、銀行という規制の強い世界で、ATMを活用した新しいサービスを次々に作り出してきたという実績です。この3つが、私たちの圧倒的な強みであると考えています。そして、この強みが、これから何がどのようなスピードで変わっていくかわからない世の中へ的確に対応し、成長し続けるための最大の武器になるのではないかと自負しています。

  • Q.新しい価値を世の中に提供する会社であり続けるために、必要なことはどんなことだとお考えでしょうか。

まずは、社是にあるとおり、信頼される誠実な企業であり続けることだと思います。当社は、提携先と競争はしない、共存共栄のポジションを貫くことで、共通インフラとしてのATMネットワークを拡大させてきました。この信頼を損なうことは絶対にあってはいけません。これを前提として、お客さまの不便や不満を解消するために我々が提供できることは何か、という視点からサービスを生み出してきました。

そうして行ってきたのが、海外発行カードへの対応であり、海外送金や、売上金入金といったサービスの提供です。こうした挑戦の積み重ねが、常にお客さまの満足を追い求め、新しいことに挑戦し、実現化していくことが仕事である、というチャレンジングな風土の形成につながっていると考えています。

特に最近は、2016年4月に設置したセブン・ラボを中心に社外のさまざまな方とのネットワークを広げており、それらの刺激を社内に運んでくるとともに、新しいことを考えたり、仕事の仕方を変えていく文化が定着してきています。

社会へ新しい価値を提供し続けるためには、信頼に足る誠実さ・生真面目さを備えていること、一方で新しいことに挑戦的であること、この両方が必要であると思います。

  • Q.CSR(企業の社会的責任)のあるべき姿をどのように考えていらっしゃいますか。

これについては、社会から必要とされる存在であるかどうか、ということに尽きると考えています。

ある時期から、当社のATMサービスは、社会インフラの1つであると言われるようになりました。いつでも誰でも使える、その信頼に足るだけの責任を果たせている、と認められたものだけが社会インフラと呼ばれると考えており、言われるほどに責任の大きさを感じています。たとえば、ATMの中の現金が切れるということは、一拠点に一台のATMを基本とする我々には決して許されないことです。お客さまが必要とするときに、常にお使いいただける状態にしておくことの重要性を理解したうえで仕事に努めることが、我々が第一に果たすべき社会的責任だと思います。

  • Q.株主還元の方針に変更がありましたが、資本政策の考え方をお聞かせください。

2016年度は、期の途中で50銭の増配を発表し、1株あたり年間9円の配当を実施しました。2017年度は、1株あたり年間9円50銭の見通しとさせていただいています。期初の時点で、増配をお示しするのは初めてのことです。

従来、地震や台風などの自然災害が多い日本において、コンビニATMという社会インフラを担っている以上、万が一の際に広範囲かつ長期間にわたってATMが停止することも想定し、復旧能力を蓄えておくためにも一定の資本の厚みが必要だと考えてきました。しかし、純資産が2,000億円規模にまで積み上がり、持続的成長への見通しが立ち、そのために必要な経営基盤強化に要する資本も確保できたという認識のもと、これからは株主還元をさらに強化していこうとの考えに至りました。そこで、配当を株主還元の基本として、従来の配当性向最低35%以上という基準を最低40%以上に変更いたしました。

私たちは、将来にわたり着実に成長していく企業であり続けたいと考えており、そのためには、株主の皆さまには長期的に応援していただきたいという思いがあります。セブン銀行を応援し続けていただくためには、着実に利益を拡大させ、その分をしっかりと皆さまに還元する会社であるということをお示しし、お互いの信頼関係を構築することが必要であり、そのために配当が果たす役割は非常に大きいと考えます。今後も適正な自己資本を確保し、ROEは現状の13%水準を維持しながら、最低40%以上の配当性向を保ちつつ、持続的成長に合わせて配当額を安定的に増加させ続けることで、株主の皆さまの期待に応えていきたいと考えています。

  • Q.最後に、ステークホルダーの皆さまへメッセージをお願いいたします。

事業環境が大きく変わるなか、この変化や新たな動きをビジネスに取り込むことで、次なる成長ステージに向かっていきたいと考えています。そのためには、現在のビジネスモデルや事業に対する考え方を変えていかなくてはなりません。そうした認識のもとで策定したのが当中期経営計画であり、この3年間は次なる成長ステージへの架け橋であると考えています。ここをしっかり渡り切ることで、新たな成長ステージを確固たるものにしていきたいと思います。

もともとATMは金融サービスにおける入出金のための道具として始まりました。しかし、さまざまな技術の進化やお客さまのライフスタイルの変化に伴い、できること、期待されることが増えています。将来どのように便利に使われているか、今の私たちには想像しきれません。つまり、私たちが何をすべきかを追求し続けていれば、ATMの可能性は無限です。

これからも、時代とともに、お客さまとともに変わり続け、常に社会に必要とされる存在であることを目指し、さらなる成長を続けてまいります。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2017年7月
株式会社セブン銀行 代表取締役社長
二子石 謙輔

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