社長メッセージ

セブン銀行は、時代とともに、あなたとともに、変わり続けます。

2019年度の振返りと業績レビュー
~キャッシュレス決済へのチャージ取引きの広がりによりATMプラットフォーム事業が伸長国内外の連結子会社の成長も寄与し、増収増益、過去最高の収益を更新~

 2019年度は、消費税率引上げに伴うポイント還元を追い風にキャッシュレス化が進んだ1年となりました。また、銀行が収益性改善に努める中で提携ATMでの顧客利用手数料を見直す動きもあり、当社のATMプラットフォーム事業を取巻く環境がさらに大きく変化したと言えます。
しかしながら、こうした状況を想定して進めてきた「本業を伸ばしつつ事業を多角化する」取組みに成果が現れ始め、通期業績は連結・単体ともに増収増益で終えることができました。
特に、キャッシュレス化が進む中でお客さまに利便性を提供することを目指し開始したATMでのキャッシュレス決済等へのチャージ取引の利用件数が大きく伸びました。その結果、1日1台当たりの平均利用件数は92.1件、総利用件数が前年差2,000万件増の8億4,900万件となり、引続き成長することができました。
事業の多角化に向けた投資において、2019年度に、持分法による投資損失を約50億円計上することになったことは、新規事業への挑戦の結果とはいえ、残念であり、この経験を今後に活かしていく所存です。
このような状況の中、開業以来最高の当期純利益を実現できたことで、大きな自信につながる1年となりました。

「事業の多角化」の進展〈海外〉
~米国・インドネシアともに、ATM事業現地法人が効率化および事業成長により黒字化し、連結業績に貢献~

米国でATM 事 業を展 開する連 結 子 会 社のFCTI, Inc. は、2019年度に3拠点を1拠点へと集約、低採算ATMの思い切った整理など大掛かりなリストラを実行し、経営の効率化が進みました。同時にATM1台当たりの平均利用件数も安定的に増え、しっかりした黒字体質を築きました。
成長するアジアでのビジネス拡大を目指し、取組みを強化しているインドネシアのPT. ABADITAMBAH MULIA INTERNASIONAL(ATMi)も順調に成長しています。2019年12月末現在でATM設置台数は200台、平均利用件数も1日1台当たり90件弱まで拡大し、また経営の効率化も進んだことから、黒字化を実現しました。

「事業の多角化」の進展〈国内〉
~ATM運営で培った安心・安全の追求が、新たな金融インフラ機能を果たすビジネスに~

金融機関等の事務受託を請け負う連結子会社の株式会社バンク・ビジネスファクトリー(以下、「BBF」)は年度末時点で受託企業数が23社(前年同期14社)に拡大し、収益も着実に伸長しています。新たな決済事業者に対して、アカウントの開設やマネー・ローンダリング、不正取引対策等の業務をBBFが受託者として提供することで、各社の負担を軽減し、早期かつ確実なサービスの立ち上げに貢献できていると自負しております。
連結子会社の株式会社セブン・ペイメントサービス(以下、「7PS」)の「ATM受取(現金受取サービス)」は、契約社数が276社に拡大し、着実に取引件数も増えています。赤字額は着実に減少しており、当初の計画通り2023年度には黒字化すると見込んでいます。

更なる「本業を伸ばしつつ事業の多角化」の実現に向けて
~持続的成長に向けた土台づくりが進捗。種まきから育成のフェーズへ~

前・中期経営計画は、期間中の事業環境の変化が大きく、残念ながら計画数値は未達に終わりました。しかしながら、新たなATM利用スタイルとなる新サービスの創出や第4世代ATMの導入を実現し、また新事業領域への打ち手も着実に実行し、本業であるATMプラットフォーム事業を伸ばしつつ事業の多角化を実現するための、具体的な基盤作りと種まきを進めることができたと認識しています。今後もこの方向性に沿って、本格的な収益化を目指して、種まきから育成へとフェーズを移行していきます。
本業では、第4世代ATMへの入替えを進め、「ATM+(プラス)」の世界を開拓していきます。多機能型プラットフォームとして新たなサービス、新たな利用スタイルを創造し、社会インフラとしてのATMが果たす役割を進化させていきます。また、既存事業をしっかり伸ばし続けていくためのシステム投資は銀行として欠かすことはできません。口座システム、ATMシステム、データセンター等が更改の時期を迎えることもあり、経営基盤の強化のための投資をしていきます。事業の多角化に向けて、国内事業で5つの分野を重点領域として定めました。1つ目は、グループ各社に来店されるお客さまをはじめとする、個人向け金融商品・サービス事業の拡充です。
2つ目は、居住外国人の方への金融サービスの提供です。日本の社会構造の維持・成長に不可欠と言われる日本で働く外国人の方に、株式会社セブン・グローバルレミット(海外送金サービス)や株式会社Credd Finance(与信サービス)を中心に、しっかりと金融サービスを提供していきたいと考えています。
これら2つは、セブン銀行自身がプレーヤーとして、個人のお客さま向けにサービスを提供していくB to Cビジネスです。新しい事業者の方々との提携も視野に入れながら、流通業界から生まれたセブン銀行ならではの独自性を持った商品・サービスを開発していくことで、新しい価値を創造していきます。
3つ目は、共通インフラとしてのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野の更なる強化です 。BBFの保有する事務処理自動化機能(RPA)のインフラをさまざまな事業者の方々に提供する事務受託ビジネスを拡充し、BPO分野を一層強化していきます。
4つ目は、セキュリティ分野でのサービス提供です。決済手段の多様化、オンライン化やデジタル化、リモート化が進めば進むほど、セキュリティ分野に対するニーズが増えてきます。中でもより重要性が増してくるのは本人認証と考えています。新たに立ち上げた株式会社ACSiONでセブン銀行での知見も活かしたセキュリティサービスや認証サービスを具体化し、多くの事業者さまに活用していただきたいと考えています。
そして5つ目は、法人の決済代行に関連するインフラの提供です。銀行での資金移動サービスに加え、リアルタイム振込や7PSのATM受取、出資先の株式会社メタップスペイメントの決済代行ビジネス等を組合わせることで、中堅・中小企業を中心とした法人の決済に関連するサービスを当社のビジネス分野の一つとして取組んでいきたいと考えています。
これらBPO、セキュリティ、法人決済代行の3つの分野は、ATM事業と同様に、さまざまな事業者の皆さんに便利なインフラサービスとして活用いただくB to Bビジネスとして拡大していくことを考えています。
海外事業では、米国とインドネシアに加え、成長するアジア地域での事業を進めていきます。
また、新型コロナウイルス感染症との共存という新たな社会的挑戦も視野に入れ、事業拡大を加速させていくために組織全体の構造改革に着手します。社内の業務プロセス、働き方、意識や考え方、あるいは経営の枠組みも含め、さまざまな視点で新しい環境に応じたスタイルへと変革し、人材育成・生産性の向上を果たさなければ、目指す事業の多角化による持続的成長は実現できないという覚悟で臨みます。

金融インフラとしての社会的責任を再確認
~新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて~

新型コロナウイルス感染症拡大を機に、リモートやオンライン、デジタル化、そしてキャッシュレス化のような環境変化が、これまでの想定以上のスピードで進むと見込まれています。この流れは、現金入出金を主としたサービスにとっては大きな脅威であり、厳しい事業環境を迎えると予想されます。しかしながら、人々が求めるものは一様ではなく、新しい時代は多様な選択肢が求められる世界になると想定しています。デジタルとアナログ、バーチャルとリアルを橋渡しする役割には大きなニーズがあり、まさにそこに「ATM+(プラス)」の世界を実現していくチャンスがあると考えます。新しい時代においても、一人ひとりが自分の求める生活を安心して便利に実現できる、そんな環境を創り出していくことに貢献する存在でありたいと望んでいます。これこそが、誰一人取り残さない、インクルージョン(すべての人を包摂する)ということであり、SDGsの観点からもセブン銀行が果たすべき役割の1つとして捉えています。
また、非対面、オンライン、リモート等が求められる世界ではBPOやセキュリティ、法人決済代行の業務は、ますますその重要性が増してきます。私たちが今、取組もうとしている新しい事業領域は、新型コロナウイルス感染症を経験した世界にこそ必要なサービスだと思っています。これまでは、ATMの設置台数および提携先の増加という規模の拡大が事業成長の源でした。今後はこれまで築き上げてきた事業基盤をベースに、ATMビジネスにおいても、またその他の分野においても、新しい機能・サービスの追加、質の高度化といった多様性の追求が重要な視点になると考えています。

コーポレート・ガバナンスの強化
~役員体制および役員報酬の考え方・報酬制度の見直しを実施~

監督と執行の分離、更なる監督機能の強化の観点から、執行を兼務する取締役は代表取締役だけに限定し、取締役会の構成は独立社外役員が過半を占める形としました。同時に、執行役員の執行に対する権限と責任を付与することで、執行におけるスピード感、機動力を発揮できる体制へと変更しました。また、リスクを取って新しいことにチャレンジした分をしっかり評価し、処遇に反映していくための役員評価制度を明確化し、役員報酬の業績連動も強化しました。
サクセッションプランについては、次世代の幹部候補となる執行役員やそれに準ずるメンバーを取締役会など議論の場に積極的に参加させ、事業の説明や質疑への応答等、対話の機会を増やすことに加え、外部とのネットワークを広げるという意味合いも含め、セミナーや教育プログラムへの参加を推進しています。
また、昨今、親子上場について言及されることが増えていますが当社にとっての親子上場は、メリットの方が大きいと認識しています。銀行ということもあり、銀行法や金融庁による監督のもと、親会社からの過度な影響を受けないこともしっかり担保されており、また、少数株主の権利の毀損や不利益をもたらすような親会社の地位乱用はありません。セブン&アイグループの顧客基盤の活用という事業シナジーは非常に大きなものがあります。一方、当社が上場を維持していることは、認知度の広がり、マーケットからの信頼感、さらには、従業員のモチベーションの高まり、そして、経営の透明性確保にも大きく寄与していると考えています。

ステークホルダーの皆さまへのメッセージ
~第2の成長の礎を育てる経営を進めていきます~

2001年の開業以来、ATMを中心とした新しいマーケットを創出し、おかげさまで社会インフラの1つとして認めていただけるようになりました。
ちょうど成長期から成熟期へと移行を遂げつつある段階で、会社を取巻く環境は本当に大きく変わってきています。これからの時期を第2の成長に向けた準備期間と位置付け、確立した本業を今まで以上にしっかり伸ばしつつ、同時に、新しい分野への投資もしながら事業を多角化していきたいと考えています。
成長への投資とのバランスを意識しながら安定配当を実施する等、株主の皆さまへの還元にも引続き努めてまいります。
「変化への対応と基本の徹底」を大前提に、これまで培ってきた会社の良い雰囲気をしっかりと残し、お客さまやお取引先、事業パートナーや従業員を含めたすべてのステークホルダーの皆さまとの関係を深めて、新しい価値創造に邁進してまいります。株主の皆さまにおかれましては引続きご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

株式会社セブン銀行 代表取締役社長

舟竹 泰昭