T・K、K・G、M・YT・K、K・G、M・Y

第4世代ATM開発プロジェクト さらなるイノベーションへ かつてなかったATMへの挑戦。第4世代ATM開発プロジェクト さらなるイノベーションへ かつてなかったATMへの挑戦。

INTRODUCTION

「従来の延長線上の単なるバージョンアップではダメだ。まったく新しい発想で、かつてなかったATMを開発しなくてはならない──」。そんなミッションのもとでスタートしたのが、第4世代ATM開発プロジェクトである。
いつでも、どこでも、だれでも、安心してご利用いただけるATMサービスを目指して、セブン‐イレブン店内に最初のATMを設置したのは2001年のこと。以来、機能やサービス、デザインなどでさまざまな改良が行われ、ATMは第2世代、第3世代と進化を続けてきた。そして第3世代ATMが誕生してから10年目にあたる2019年9月、第4世代ATMがデビューを果たした。
約4年をかけて進められたこの開発プロジェクトについて、プロジェクトメンバー自身が振返る。

PROJECT MEMBER

T・K
T・K / ATMソリューション部 2008年 新卒入社/教育学部卒
K・G
K・G / ATMソリューション部 2011年 新卒入社/経済学部卒
M・Y
M・Y / ATMソリューション部 2016年 新卒入社/社会科学部卒
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それはまさに会社の未来をかけた経営判断。
熱い想いとともに、プロジェクトはスタートした。

T・K

セブン銀行の第3世代ATMが登場したのは2010年。利便性と環境性能を追求したこのマシンはATMとして極めて高い完成度を誇り、導入時約15,000台だった設置台数を2019年には約25,000台へと押し上げる原動力となった。
一方で、電子マネーなどキャッシュレス化の波が急激に押し寄せてきたこと、お客さまの行動がスマートフォンを中心にしたものへと変化してきたこと、AIやビッグデータなど新しいテクノロジーが登場してきたことなどを背景に、第4世代ATMの開発もこれまでにない大きなテーマとなった。これら世の中の変化に対応し、新たなサービスや価値を提供すべきだという社内の事業戦略も後押しすることになり、2017年7月7日に「第4世代ATM開発プロジェクト」がスタートすることになったのである。

T・K T・K

「ATM事業は当社の経営の柱です。その全面的な入替えを行うことは経営上の大きな判断であり、投資も大きなものになります。プロジェクトメンバーにアサインされたことは大きな喜びでしたし、同時に必ず成功させなくてはならないという強い使命感も湧いてきました。開発のパートナーであるメーカーを招き、当社の経営トップも含めたプロジェクトメンバーが一堂に会してキックオフミーティングを行ったのですが、あのとき会議室に漂っていた“必ず成し遂げるんだ”という熱い緊張感は忘れられません。」

K・G K・G

「私はプロジェクト発足と同時にATMソリューション部に異動となり、メンバーにアサインされました。それまで営業の担当だったため、開発についてはまったくの未知の世界。身の引き締まる想いとともに、果たして自分に何ができるかという不安もありました。新しいATMの開発は10年に一度の一大プロジェクトです。年齢を考えると、次の第5世代ATM開発では私がその中心的な役割を担っているかもしれません。そのときに備え、今回のプロジェクトではできる限りのことを吸収しようと決意しました。」

M・Y M・Y

「プロジェクト発足当時、私はまだ入社2年目。ATMソリューション部に籍は置いていましたが、担当業務は違っていたので、キックオフの様子を見ながら“ああ、とうとう始まったんだな”と思ったものでした。就職活動中、セブン銀行の説明会で、これから新しいATMを開発予定だと話を聞き、漠然と自分も携われたらいいなと思ったこともあり、プロジェクト発足の翌年にメンバーにアサインされたときは、入社時の夢が一つかなったということで、とてもうれしく感じました。」

T・K、K・G、M・Y T・K、K・G、M・Y
2

従来の延長線上にないATMを。
そのためにメンバー自身がゼロからつくりあげていった。

K・G

話はプロジェクト発足の3年前、2014年にさかのぼる。第3世代ATMへの入替えが順調に進み、設置台数が20,000台に届こうかという頃、早くも第4世代ATMの開発に向けた取組みが水面下で動き始めた。その中心となったのが、2013年にATMソリューション部に異動してきたT・Kだった。
T・Kを中心とする社内有志メンバーは、人々のライフスタイルの変化やテクノロジーの進化といったトレンドをふまえ、「マーケットWG」「接客WG」「決済WG」など7つのワーキンググループに分かれて第4世代ATMのあり方について検討を重ねる。その結果、「単に第3世代のATMを進化させるのではなく、まったく新しいATMをゼロからつくりあげる必要がある」との考えのもと、「ATM+(plus)」というコンセプトが固められた。そこには「速さや使いやすさ、安全性といったATMとしての基本機能を進化させるのは当たり前のこと。その上でさらに新しいサービスを柔軟に付加していけるものでなくてはならない」という意図が反映されていた。
そして2017年に正式にプロジェクトが発足後、メンバーは仕様や機能の具体的な設計に取りかかっていったのである。

T・K T・K

「一般的に設置されているATMは、メーカーが仕様を決めて販売するものを購入しているのが普通です。しかし当社の場合、メーカーとはあくまでパートナーの関係であり、機器の開発は我々も一緒に取組んでいくというスタイルを貫いています。したがって私たちが考え、検討し、決定しなくてはならないことは山ほどありました。例えばお客さまの取引操作を支援する画面デザインです。より使いやすく、より多くのサービスを提供するために、ATMとしては世界で初めて2画面一体のディスプレイ構成とすることを決定し、ゼロから画面デザインをつくりあげました。お手本がない中、私たちはスマートフォンや最新家電など、“ユーザインターフェイス(UI)”と名付けられたありとあらゆる画面のサンプルを集めてきて、1年間にわたって検討を重ねました。その結果、シンプルでありながら操作しやすく、誰が見ても戸惑うことのない、いわば“究極のUI”を持つ画面デザインが実現できました。」

M・Y M・Y

「フォルムについては、優しく包み込むような安心感、親しみやすさを感じさせるため、コクーン(Cocoon=繭)をイメージしたものとしました。色についても、今までセブン銀行ATMの前面は必ず赤でしたが、今回はコクーンということで白を前面に配し、まったく新しい印象としました。ただ、白は汚れが目立つのも事実。そこで清掃の負担が重くならないよう、汚れにくい素材を探して、採用しました。さらに木目部分は、新しいサービスを付加していく『+(Plus)エリア』と設定。ここには非接触ICリーダ/ライタ、Bluetooth、スキャナなどが搭載されており、将来的には画像認証技術を応用した非対面での本人確認取引が実現できるよう機能配備しています。」

K・G K・G

「操作音も従来のものから一新することにしました。従来は電子音でしたが、“かつてなかったATMを”という狙いで第4世代ATMではピアノの音を採用。人の耳に優しく、身近に感じられる音としました。また、音声案内の声もすべて新しく収録し直しました。プロの声優さん20人ほどをピックアップしてサンプルを聞き比べ、候補を絞ってからは“いらっしゃいませ”などの言葉を実際に発してもらい、検討を重ねました。収録の際も実際にスタジオまで出かけて立ち会って、細かなニュアンスについてオーダーさせてもらいました。目指したのは、親しみやすいカフェ店員さんのイメージに、金融サービスにふさわしい安心感をプラスした音声案内。銀行に入社したのに、スタジオで声優さんの収録に立ち会うなんて、思いもよらぬ経験ができました。」

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お客さま目線にはとことんこだわる。
その姿勢はどこまでも貫かれた。

M・Y

メーカーとの密接な協力体制のもと、第4世代ATMの開発は順調に進んだ。今回のプロジェクトでは、ATMを従来の枠を超えたものにしようとしたことに加え、プロジェクトの進め方そのものも新たな取組みとして挑戦した。それが、アジャイル開発と呼ばれる手法である。これは最近のシステム開発の際によく用いられる手法で、開発の途中段階でチェックとフィードバック、修正を繰り返しながら前に進めていくというものだ。具体的には一般の生活者にモニターとして協力を要請。3回にわたってモックアップ(模型)や試作機に触れてもらい、そのフィードバックを、仕様や機能の開発に反映させていったのである。従来、こうしたモニター評価は、特にハードウェアに関してはメーカーに一任するケースが多かったが、今回はセブン銀行が主体となって行った。「この機会にモニター評価のノウハウを吸収し、自社の知見としてたくわえて、将来に活用することを考えた。」(T・K)というのが、その狙いだった。

K・G K・G

「モニター評価は、幅広い世代の男女、約40人にお願いしました。私は操作画面のデザインを担当したのですが、印象的だったのは、さりげなく動物などのアニメーションを入れてみたところ、“面白い試みだが、ATM取引きに集中できない”という手厳しい評価をいただいたことです。遊び心を演出したつもりでしたが、お客さまの目線とはかけ離れたものになってしまったようでした。そうしたフィードバックは謙虚に受止めてアニメーションを取りやめにし、次のモニター評価ではアニメーションなしの画面としました。一方で操作音をピアノに変えたことについては “いい音ですね”と高く評していただき、うれしかったです。」

M・Y M・Y

「モニターのみなさまの評価は本当に手厳しいものでした。ATMの開発に取組んでいると、ついつい開発者目線になってしまい、本当にお客さまのためになっているか、という視点を忘れがちになってしまいます。例えば前面に荷物を置くスペースを設けたのですが、モニター評価では気づいていただけませんでした。そこでピクトグラム(荷物マーク)をつけたところ、次のモニター評価ではしっかりと気づいていただくことができました。このように開発者目線にこだわっていると危うく見落としてしまうことを防ぐ意味でも、モニターのみなさまの存在は貴重でした。短時間で効果的な意見を引出すために下準備は入念に行い、当日のインタビューも自分たちで行うなど、それまでやったことのない新しい仕事の連続で、本当にチャレンジだったと思います。モニターのみなさまに視線を捉えることのできるウェアラブルカメラを装着していただき、視線が操作画面上でどう動いているかを追いかけるテストも行いましたが、想定したとおりに迷いなく視線が動いていたときは、やった! と思いました。」

T・K T・K

「私が個人的に最も苦労したのは、ATMの中の現金管理についてでした。セブン銀行のATM25,000台には多額の現金が入っており、毎日の取引状況に応じて現金の格納や回収するタイミングも含めて、その膨大な現金をいかに効率よく管理するかというのは大きなテーマです。もちろん安全かつ正確に、という点も忘れてはなりません。創業来のノウハウをさらに高度化させるために、発想を変えた仕組み見直しやAIを活用して現金の流れを予測するなど、最も効率的な現金管理を実現するためにチャレンジを重ねました。」

T・K、K・G、M・Y T・K、K・G、M・Y
4

第4世代のデビューは、第5世代開発への第一歩。
私たちのチャレンジは、さらに続いていく。

T・K、K・G、M・Y

こうして誕生した第4世代ATMは、2019年9月にリリースのときを迎え、まずは都内4,500台が東京オリンピック・パラリンピック前に入替えされることになる。その後、4~5年かけて全国で入替えが進められていく予定だ。
お客さまを大きく包み込むラウンドバイザーや大きくて見やすい操作ディスプレイなどは早くも評判となっており、今後『+(Plus)エリア』で始まることになる顔認証の機能を使った新しいサービスにも期待が寄せられている。
また第4世代ATMのリリースは、次の第5世代ATM開発に向けたスタートでもある。プロジェクトメンバーたちも、苦労して生み出した“我が子”が社会にデビューする様子を眺めながらも、早くも次の開発に向けて想いを新たにしている。

M・Y M・Y

「もちろん自信を持って送り出した第4世代ATMですが、“社会からちゃんと受入れてもらえるかな”というドキドキはありました。無事にデビューを果たせて、まずは一安心です。これからのATMは、“従来のATMの範疇を超えたもの”へと進化していくことでしょう。第4世代ATMは、その第一歩だと考えています。」

K・G K・G

「ATMが単なる現金自動預払機にとどまることのないよう、社会の安心・安全を提供するプラットフォームへと進化させていきたいと思っています。これからは、新たなキャッシュレスサービスやシェアリングサービス、C to Cサービスなど、お客さまの多様なニーズにお応えするインフラへとなっていくのではないでしょうか。“困ったことがあればセブン銀行のATMに行けばいい”と思っていただけるようなATMを開発したいですね。今までのATMを超える存在、つまり“beyond ATM”がこれからの私のキーワードです。幸いなことに、第4世代ATMはTwitterでデザインや機能がつぶやかれるなど、社会に少なからずインパクトを与えることができたようで、うれしく思っています。もし、お客さまがATMを使っている様子をうれしそうに眺めている男がいたら、それはきっと私です(笑)。」

T・K T・K

「プロジェクトを振返れば、最大の山は、プロジェクトが正式にスタートする前に、経営陣に対して第4世代ATM開発の提案を行ったときでした。大規模な投資を伴う10年に一度の経営判断に際して、その判断を誤るようなことがないよう、開発の意義や狙い、成果、そして方向性などを提案したわけですが、それが受入れられ、スタートを切ることができました。この山を越えたことが、私たちにとっての最大のチャレンジでした。経営陣の確固とした意思のもと、これからも10年後、20年後のATMのあるべき姿を見据えて、チャレンジを続けていきたいと思います。」

T・K、K・G、M・Y T・K、K・G、M・Y

※記事内容はすべて取材当時のものです。