2025.7.15
ボノロン創刊20周年!世代を超えて紡ぐ“思いやり”の物語と、未来へつなぐ想い
セブン銀行では、「森の戦士ボノロン」を掲載中のフリーマガジン『ポラメル』(以下、ボノロン)に創刊当初より協賛しています。2025年6月で創刊20周年、121号を迎えた本作。その節目にあたり、ボノロンの制作背景や協賛の想いについて、ボノロン編集長を務める株式会社コアミックスの福沢さんと、ブランドコミュニケーション部の金沢に話を聞きました。
目次
ボノロンとは?―誕生秘話―「心の栄養」をすべての子どもに
主人公のボノロンは、巨木の森タスムンに住む巨人の男の子です。心優しいボノロンは巨木に涙をおとしたさまざまな人の悩みや願いに真摯に寄り添い、心を通わせます。
ボノロンのお話には、愛、友情、生と死など、子どもたちに伝えたい大切なことが描かれています。物語を通じて親子のコミュニケーションを促し、やさしさや思いやりの心を育むことを目指しています。
―ボノロンが生まれたきっかけを教えてください。
福沢:弊社の創業者であり原作者でもある堀江信彦(ペンネーム:北原星望)が、「親子で読める絵物語を作り、定期的に発行していきたい」と発案したことが始まりです。
堀江は『週刊少年ジャンプ』の元編集長で、漫画『北斗の拳』の作者である原哲夫先生の担当編集者でもありました。原先生にも当時お子さんが生まれたばかりで、「子ども向けの作品を手がけたい」という気持ちがあったため、堀江が声をかけて実現しました。ボノロンに見られるダイナミックなコマ割りは、原先生ならではの視点ですね。

株式会社コアミックス 制作統括本部 ポラメル編集課 編集長 福沢さん
―なぜ、親子で読める絵本を作ろうと考えたのでしょうか?
福沢:堀江は、子どもの頃に出会った“絵物語”(挿絵と文章でストーリーを追う読みもの)をきっかけに、読書の世界に引き込まれたそうです。そんな体験を今の子どもたちにも届けたいという願いが、企画の原点になりました。
また、自身が多忙で子育てにあまり関われなかった反省もあり、「忙しい親が多い現代だからこそ、親子がコミュニケーションをとるきっかけになるツールを作りたい」という気持ちもありました。
―ボノロンを通して、最も伝えたいメッセージは何でしょうか?
福沢:「他者を思いやる心」です。家族や友人といった身近な存在はもちろん、通りすがりの誰かや、自分とは異なる立場の人にもそっと心を寄せ、すべての人を大切にしてほしい――この想いを、20年間変わらず伝え続けています。
―各絵本の内容はどのように決めていますか?
福沢:原作者と編集者で話し合い、子どもたちに届けたいテーマ・メッセージを軸に内容を決めています。物語の文章量を少し多めにしているのは、難しい言葉や内容に触れたときに、子どもたちが親に質問するきっかけを作りたいからです。そこから親子の会話が生まれ、コミュニケーションが深まることを意図しています。

―無料配布にしているのはなぜでしょうか?
福沢:「すべての子どもたちに絵物語を届けたい」という想いからです。家庭の経済状況によって、物語に触れる機会に差が出てしまうのは望ましくないと考えています。
原先生はよく「心の栄養」という言葉を使います。親子で過ごす体験は子どもにとってかけがえのない栄養になり、内面を育むことにつながります。
―セブン銀行が協賛に至った経緯について教えてください。
金沢:ボノロンの創刊企画についてうかがったのが、ちょうど当社事業が黒字化するなど軌道に乗り始め、「社会と共存する会社を目指そう」という機運が高まっていた頃でした。その中で「時代が変化する中で、親子のコミュニケーションが希薄化している」という問題意識を強く持っていた当時社長の安齋が、ボノロン制作陣の熱意に深く共感し、協賛を決めました。

ブランドコミュニケーション部 金沢 充貴
子どもたちの笑顔がつないだ、20年の軌跡
―20年という長きにわたり、協賛を継続してきた理由は何でしょうか?
金沢:店舗を持たない私たちセブン銀行にとって、ボノロンの活動がお客さま、特にお子さんとの貴重な接点になっています。
ボノロンの絵画コンクールなど、各種イベントには歴代の社長たちも必ず参加しているのですが、イベントでお子さんたちが喜ぶ姿を直接見て「この取組みは続けなければ」と感じてきたことが大きいですね。
―ボノロンに関して、セブン銀行主体で行っている活動について教えてください。
金沢:2011年から「ボノロンキャッシュカード」の発行を開始しました。カード自体はボノロンがデザインされたキャッシュカードになるのですが、この発行枚数に応じて全国の児童館等に絵本を贈呈するなど社会貢献活動としてスタートしました。当社のビジネスと社会貢献を掛け合わせたいという想いから始まった取組みで、ご好評をいただき現在も継続しています。

ボノロンキャッシュカード
―20年間の協賛活動の中で、特に印象に残っている出来事やエピソードはありますか?
金沢:特に印象深いのは、東日本大震災で被災した児童館に遊具や砂場を寄贈したことです。これも、ボノロンがつないでくれた縁で実現した取組みでした。初代社長の安齋が福島県出身だったこともあり、被災地のために少しでも力になりたいという強い想いがあったと聞いています。
福沢:その砂場は、津波による被災経験から海を怖がるようになった子どもたちに「安全な場所で砂遊びをさせてあげたい」という願いから寄贈されたものです。お披露目の際は私も同行したのですが、子どもたちが一斉に砂場に駆け寄り、大喜びで遊ぶ姿は本当に感動的で、今でも強く印象に残っていますね。

2013年度、福島県新地町児童館に砂場を寄贈した際の様子
大切なことを伝え続けたい。世代を超えるボノロンのメッセージ

―社会への貢献を実感したエピソードがあれば教えてください。
福沢:特に心に残っているのは、絵画コンクールで最優秀賞を受賞された姉妹のエピソード(ポラメル2025年6月号に掲載)です。小さい頃からボノロンを読んでくださっていたそうで、お一人は福祉の仕事に就かれ、もうお一人も社会福祉について学ばれているそうです。その理由が「ボノロンを読み、社会に貢献したいという気持ちが育っていった」からだと聞き、胸を打たれましたね。
大人になってもボノロンを愛読してくださったこと、そしてそこで育まれた価値観が人生の選択にまでつながったことを知り、うれしさとともにこの絵物語が持つ意味の大きさを改めて実感しました。
―そのような反響は、他にも多く寄せられているのでしょうか?
福沢:はい。お便りは日々たくさん届いており、その中には、世代を超えて受け継がれていることを実感するエピソードも多くあります。「子どもの頃に読んでもらっていて、今は自分の子に読み聞かせています」といった声は、よくいただくものの一つです。また、小学生の頃、学校で過ごすのが苦手だったという方からは「ランドセルにボノロンを入れて通っていた」「将来子どもができたら、最初に読み聞かせたい」というお便りもいただきました。
さらに、15年前の読者企画でひいおばあちゃんと5歳のお孫さんの写真が誌面に掲載されたご家庭では、現在そのお孫さんが20歳に、ひいおばあちゃんは100歳を迎え、今も毎号ボノロンを楽しみに読んでくださっているそうです。 こうしたお声の一つひとつから、物語を大切に思ってくださる気持ちが伝わってきて、心が温かくなります。ボノロンが長く親しまれていることは、私たちにとって何よりの励みになっています。

絵画コンクールは2025年度で20回目となる
金沢:私もこの活動に関わる中で、心を動かされる瞬間がたくさんあります。中でもお子さんを中心としたお客さまに喜んでいただけることを実感したときに、「ボノロンに携わることができてよかった」と思います。読み聞かせ会などで子どもたちが目を輝かせながらボノロンを楽しむ姿や、児童館に贈呈した絵本を子どもたちが楽しそうに読んでいる写真を見ると、心からうれしくなります。
創刊からの20年間で社会は大きく変わりましたが、「思いやり」のように変わらず大切にしたい価値を、次世代につなぐ活動に携われることに、大きなやりがいを感じています。これからも、一つひとつの取組みを丁寧に、そして誠実に続けていきたいです。
思いやりを未来へつなぐ、豊かな社会への確かな歩み
―ボノロンの取組みにおける今後の想いを教えてください。
福沢:20周年を機に、ボノロンの世界観を舞台で表現するという新しい試みにもチャレンジしています。さらに将来的には、ボノロンが伝え続けてきた「思いやりの心」を日本だけでなく、世界中の子どもたちにも届けたいと考えています。国や文化が違っても「隣にいる人を大切にする気持ち」がつながっていけば、世界はもっと支え合える社会になると信じています。創刊当初から変わらないこのメッセージをこれからも大切にし、伝え続けていきたいです。
金沢:この活動は、収益やATMの利用件数のように直接数値で確認できる成果があるわけはありませんが、当社が社会から信頼される存在であるために、なくてはならない大切な取組みだと感じています。
当社では、重点課題の一つに「レスポンシビリティ【将来への価値創造】:豊かな社会と地球の未来への貢献」を掲げており、読書や読み聞かせを通じた子どもたちへの学びの機会は、この実現につながる大切な一歩と捉えています。 ボノロンを読んだ子どもたちが、物語を通じてやさしさや思いやりを育み、いつかその心を社会のために生かしてくれることこそが、何よりの社会貢献になると信じています。

※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。


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