2025.3.3
海外事業が目指す先とは。世界中の人に金融サービスを届ける「ATMプラットフォーム」
皆さん、こんにちは!セブン銀行 STORY of PURPOSE編集部です。
セブン銀行では日本国内での事業に加え、海外4カ国でATMプラットフォームの拡大を進めています。今回は海外プロジェクトに携わる、グローバルビジネス事業部の大城に、事業が始まった経緯や海外ならではの困難、今後の展望について語ってもらいました。
目次
日本で成功したビジネスモデルを海外へ展開
―まずは、どの国に事業展開しているか教えてください。
大城:アメリカ、インドネシア、フィリピン、マレーシアの4カ国にATMを設置しています。設置台数は年々増加しており、特にインドネシアでは2021年から2023年にかけて5,408台ものATMが増えました。

ATM市場の成長が見込まれる東南アジアを中心にATMの設置台数を増やしている
現在、国内のATM台数は約27,000台に対し、海外は合計21,159台(※2024年12月末時点)と、海外事業はセブン銀行の中で大きな存在になってきています。
―国ごとに扱っているサービスに違いはありますか?
大城:4カ国ともATMでの出金・振込・残高照会に対応しています。加えて、フィリピンではセブン-イレブンに設置しているATMに限り、売上金の入金も可能です。2024年10月からは、インドネシアで電子マネーを現金化するサービスも開始しました。今後はより幅広いサービスの提供を検討しています。

グローバルビジネス事業部 グループ長 大城 幹洋
―海外事業のスタートは2012年からでしたが、どのような経緯で海外進出に踏み切ったのでしょうか。
大城:セブン銀行は2001年に事業を開始し「コンビニ内にATMを設置する」というビジネスモデルを日本で確立させました。このスキームが海外にも展開できるのではないかという考えのもと、事業を始めることになりました。
世界最大のATM市場であること、セブン-イレブンの店舗も多いことから、2012年10月にアメリカ進出を決め、その後は現金利用の多さやセブン-イレブンの店舗数、今後事業の拡大が見込めるかなどの観点から総合的に調査を行い、東南アジアをメインに展開しています。
文化や価値観の違いに寄り添い、助け合うことで事業も大きく成長
―海外展開する中で、日本との違いを感じることはありましたか?
大城:違うところばかりですね(笑)。提携する企業との契約がスムーズに進まないことは多々あるほか、突然パートナーシップが切られたりということもあったりしました。
また、インドネシアでは事業を進めている途中で法改正があり、コンビニにおける店舗面積の問題によってセブン-イレブンが撤退することになりました。現在は自分たちで提携先を探して、設置場所を増やしていますが、当時はATMの設置場所がなくなったことで一から立て直しを図るのが大変でした。

―日本では滅多に起こらないトラブルが発生するんですね。その他、文化や国民性の違いによって生じた課題もあれば教えてください。
大城:日本人は仕事に対して完璧を求める傾向がありますが、海外ではもう少し大らかにとらえる人が多いです。例えば、決まった期日からスケジュールが遅れることはよくあります。

現地子会社の仕事風景。専門領域を持った人々が互いを助け合いながら業務を進めている
はじめはそのスタンスの違いをどう埋めるべきか悩みましたが、日本のやり方を押し付けても意味がないことに気が付きました。今は、その点も想定してスケジュールを組んだり、多少の遅れを許容するスタンスで取り組んだりして、臨機応変な対応を心掛けています。
また、セブン銀行内にも海外の子会社から出向して活躍してくれているメンバーがいます。業務の進め方の違いや言語の壁によってコミュニケーションに時間がかかることもありましたが、日本で培ったノウハウや常識が通用しないことは当たり前ですよね。

オープンな雰囲気の中、多国籍のメンバーが一つのチームとして働いている
だからこそ、相手のペースを尊重したり、身振り手振りを交えながらゆっくり会話したりと、お互いの文化や価値観について相互理解を深めながら業務を進めています。壁にぶつかることも多いですが、多角的に意見交換ができるからこそ視野が広がり、事業の成長にもつながっています。
世界中の人たちが「お金を便利に使える環境」に
―ATMを設置したことによる現地の反応はどうでしたか?
大城:アンケートなどで、お喜びの声をいただくことがあり、うれしい限りです。インドネシアの郊外では、ATMを設置した際に長蛇の列ができ、たくさんの方から感謝の言葉をいただきました。

現地の強いニーズに応えて、インドネシアには9,300台のATMを設置 ※2024年12月末時点
またフィリピンでも、「近所にATMができてうれしい」「何かあったらお金をすぐに出金できるのがありがたい」等の声がありました。
―ATMの設置によって現地の方の生活はどう変わったのでしょうか?
大城:世界的にキャッシュレス化が進んでいますが、インドネシアやフィリピンの郊外では、いまだ現金による決済が主流です。
そのため、ATMの需要も高いですが、設置台数はまだ少なく、地域によっては足りていないところもあります。ATMで現金を引き出すために、主婦の方が子どもを連れてバイクで遠くまで出かけなければならないといった状況も多いのです。
それが近所のコンビニでいつでも現金を下ろせるようになるというのは、非常に大きな変化でしょう。
近くにATMが無くて困っているという人は、世界規模で見たらマイノリティかもしれませんが、そのような人たちの声を拾い上げて、すべての人がお金を便利に使える環境を作っていきたいですね。

東南アジアではATM設置台数・利用件数ともに順調に伸びている
セブン銀行が仕掛ける新たな金融サービスの広がり
―今後、展開地域や設置台数をどのように拡大する予定ですか?
大城:現在展開中の東南アジアを拠点として周辺の状況を調査し、需要のある地域には拡大を検討していきたいです。
台数については、広く行き渡らせることも大切ですが、むやみに増やすことが必ずしも良いとは限らないので、どれだけの利用を見込めるかニーズを調査した上で効率的に展開していきたいです。
―サービス内容も広げていくのでしょうか?
大城:はい。ATMのビジネスは、まねがしやすい業態だと考えています。ですから、ただ出金ができるだけの機械では今後生き残っていけないでしょう。
他社と差別化するためにも、電子マネーのチャージや現金化、公共料金・税金の支払いなど、他業種とも協同してより便利なサービスを展開していきたいと考えています。さらにその先は、小売のデータと連携させて新しいビジネスができないかなど、さまざまな可能性を模索しています。

―新たなフェーズに向かっていく段階なのですね。
大城:今まで考えてきたビジョンを形にする段階に入ったといえます。海外事業の場合、我々は銀行業そのものではなく、ATMを通じて銀行と顧客をつなぐ事業会社という立ち位置にあるため、銀行法などの制約が少なく、他企業との連携を自由に行いやすいというメリットがあります。
その特性を利用して、企業と顧客をつなぐプラットフォームとして今まで以上に幅広いサービスを展開できないか構想を練っているところです。
―最後に、海外事業を通して「セブン銀行が目指す未来」について教えてください。
大城:グローバルビジネス事業部では、『世の中すべての人たちの“お金“をより便利に』という事業部のミッションを掲げています。これを実現するために、セブン銀行グループのサービスを世界中に届けることが私たちの使命です。
そのため、いつでも、どこでも、自分が望む金融サービスが受け取れるインフラを提供するべく、今後も尽力していきます。世界には、私たちのサービスを待っている人たちがたくさんいるはずですから。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。


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