2025.10.01
異色コラボが仕掛ける“思い出づくり”。
ATMと駅をNFTでつなぐ新企画を語る!
2025年9月、セブン銀行は東急電鉄とともに、お出かけしながらNFTを集めて遊べる企画をスタート。今回は、本企画が生まれた背景やそこに込めた想いを、鉄道事業のデジタル推進を担当している東急電鉄株式会社 技術戦略部の矢島さん、NFT配布に特化したサービス提供をされているSUSHI TOP MARKETING株式会社 CEOの徳永さんと、セブン・ラボの市本に話を聞きました。
目次
NFTってなに?お出かけしながら集める“デジタルスタンプ”

お出かけ先でNFTを集め、特典やデジタルコンテンツも楽しめる「ATMでチャージして東急線でお出かけしよう!デジタルラリー」。セブン銀行ATM、東急電鉄の駅構内、東急線沿線の商業施設でそれぞれNFTを入手していくスタンプラリー形式の企画です。セブン銀行では、対象エリアのセブン銀行ATMで交通系電子マネーをチャージし、 ATM画面またはご利用明細票に表示されるQRコード※を読取ることでNFTがもらえる、期間限定のお出かけ企画です。

NFTとは、デジタルデータに「これはあなたのもの」という所有の証明を付与する技術です。その仕組みには「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型の台帳システムが使われており、みんなで一冊の台帳を共有して記録するようなイメージです。書き換えや不正ができないため、安心して「自分だけのもの」として保有できます。
一般的には、アート作品の売買やゲーム内アイテムの管理、投資商品として使われることが多いNFTですが、今回配布するNFTは“譲渡できないタイプ”(SBT)です。人に売ったり渡したりするのではなく、参加の記録として自分だけのコレクションに残せる、いわば“デジタルスタンプ”です。

左は過去に配布した3D車両NFTのサンプル
集めたNFTスタンプは、「NFT図鑑」でコレクションとして楽しめます。
NFTスタンプを3つ集めると、希少性の高い3DのNFT車両の特典を受け取ることができ、「NFTゲージ」というデジタル空間で走らせたりと、まるで自分だけの電車博物館のような体験が可能です。
さらに、先着でオンラインギフト(お茶)のプレゼントや抽選で「Q SKIP(キュースキップ)」で使える東急線ワンデーパスのクーポンが当たります。Q SKIPは、スマホで東急線や東急バスの乗車券、施設入場券などを購入・利用できるデジタルチケットサービスです。お出かけしながらNFTを集めて遊び、日常で使える特典も受け取れる。そんな新しい楽しみ方を、ATMから気軽にはじめられます。
- ※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
なぜ「ATM×鉄道×NFT」?異色コラボの誕生秘話
―今回の企画はどのようなきっかけではじまったのでしょうか?
矢島:当社では、より多くの方に東急電鉄を利用していただくための取組みとして、2023年からSUSHI TOPさんとNFTを活用したラリー企画を企画・継続してきました。鉄道ファンの方に好評な一方で、ターゲットが絞られてしまうといった課題感を感じていました。
徳永:そこで、以前セブン銀行さんと実施した「NFT募金」(ATMから募金するとNFTがもらえる施策)の知見を活かし、三社で取り組めばより面白いことができるのではないかと考え、セブン銀行ATMとのコラボをご提案しました。
市本:交通系電子マネーのチャージとNFTを組み合わせるアイデアはスケールが大きく、これまでになかった体験を多くのお客さまに届けられると感じました。東急電鉄さんの鉄道ファンの方に加えて、ファミリー層など幅広い層の利用につなげることで、ATMに新しい価値を見出していただくきっかけにもなると感じました。
矢島:この企画はお客さまに楽しんでいただくだけが目的ではなく、ATMで交通系電子マネーのチャージを行うことにも意味があります。駅に行く前にセブン銀行ATMでチャージしておけば、駅が混雑していてもチャージ機に並ぶ必要がありません。これはお客さまにとっての利便性向上はもちろん、駅の混雑緩和や設備運用の効率化など、弊社側のメリットにもつながると期待しています。

東急電鉄株式会社 鉄道事業本部 技術戦略部 イノベーション推進課
課長補佐 矢島 綾子さん
―三社が組んだことで、新たなチャレンジが生まれたのですね。
矢島:NFT施策は今年で3年目になりますが、まだまだ社内で十分に理解されていない側面もあり、模索しながら進めてきました。ただ今回は「ATM×鉄道×NFT」という意外性が社内での反応も大きく、期待の声も大きいです。
市本:セブン銀行としても、ATMを入出金やチャージだけに留めず、より便利で楽しく使ってもらえる存在にしていきたいと考えていました。今回の施策は、お客さまに「ATMでこんなこともできるんだ」と感じていただける、まさに私たちが目指す方向性を示す取組みだと感じています。

セブン・ラボ 事業開発グループ 調査役 市本 大
―なぜこの企画にNFTという技術を選んだのでしょうか?
徳永:NFTと聞くと「何のことか分からない」「難しそう」と感じる方も少なくありません、そこで今回の企画では、NFTを知らない方でも安心して楽しめる体験を目指しました。NFTは、個人情報の入力やアプリの登録が不要で、スマホ一つですぐに参加できます。初めて触れる方でも、抵抗なく気軽に楽しめる点が、今回の企画と相性抜群でした。こうした気軽さは、参加のハードルを下げたいという狙いにも通じています。
矢島:たとえば、東急線沿線をたまにしか利用しない方ともつながりを持ち、楽しい体験を提供していきたいと考えていました。三社で協業し、多くの方に参加いただける企画検討を進めることは通常大変なことだと思いますが、NFTという技術を活用することで、企業間のシステム連携が不要となり、異業種での共同企画もスムーズに実現することができました。

SUSHI TOP MARKETING株式会社 Founder CEO
徳永 大輔さん
「やってみたい」を生む仕掛け。心を動かす体験づくり
―施策で特にこだわった点や、難しかったことはありましたか?
市本:ATMはお金や個人情報を扱う機器です。そのため、新しい取組みを行う際には、お客さまの資産やデータが不正に利用される恐れはないか、銀行法に抵触しないかなど、多方面からのチェックが欠かせません。お客さまに楽しんでいただくことが目的の企画であっても、金融インフラを担う私たちにとっては、安全性と信頼性を守ることが何よりも大切です。そこで、弁護士とも何度も相談を重ね、一つひとつリスクを丁寧に検証し、安心してご参加いただける形に整えました。
矢島:ATMからのNFT配布機能の構築についてはみなさまにご対応いただき、私たちはこの企画がお客さまにとって魅力的な体験になっているかという視点に注力しました。たとえば、小さなお子さまを連れた保護者の方が、ATMでチャージしたときに「参加してみようかな」と思ってもらえるか、ということをお客さま目線で考え、その一歩を後押しする企画の設計について、議論を重ねました。

―「やってみたい」と思ってもらうために、どんな工夫をしましたか?
矢島:NFTを集めた特典として「お茶ギフト」や「デジタルチケットサービス Q SKIP」のクーポンを用意したのは工夫の一つです。「お出かけ先でお茶を飲んでひと息つく」「クーポンを使ってまた電車に乗る」といった、体験後も小さな嬉しさが続くようにこだわりました。企画の細部まで「参加した方がどう感じるか」を想像し、丁寧に作り込みました。
徳永:そうなんです、その“小さな嬉しさ”をどう生み出すかがポイントでした。三社がコラボしたというだけでも話題にはなりますが、ちゃんとお客さまに届き、特別な体験として心に残る企画になっているかどうかが重要です。これまでのNFTラリーとの差別化を図り、この企画ならではの特別感を意識しました。
―どうやって特別感を出しましたか?
徳永:クリエイティブに注力しました。今回のNFTは、セブン銀行ATMのイラストと、東急電鉄のキャラクターを組み合わせた、この企画だけのオリジナルデザインの車両にしました。「欲しい」「集めたい」と思っていただけるよう、細部までこだわりましたね。
つながりを生み出すATMへ。三社が描く次への挑戦
―今回の企画を通じて感じた可能性や、今後の展望を教えてください。
市本:まずはこの企画を成功させ、多くの方に楽しんでいただくことが一番です。全国に28,000台以上あるセブン銀行ATMというタッチポイントの多さを活かし、たくさんの思い出づくりをお手伝いしたいです。
矢島:この企画の成功を足がかりに、さらに大きな形で展開できるようにしたいと考えています。これまでのラリー企画で受け取ったNFTを長い間持ち続けてくださる方もたくさんいらっしゃいます。今後は保有期間に応じて特別な特典を用意するなど、「持っていてよかった」と思えるよう仕組みを検討し、当社のNFTサービスを利用し続けていただくことで、今までにない新しい楽しさやワクワク感を感じていただける体験を提供していきたいです。

徳永:NFTをはじめとするブロックチェーン技術には、企業とお客さまを“ゆるやかにつなぐ”力があります。個人情報を渡さずに参加でき、一度発行すれば管理コストがほとんどかかりません。この技術のおかげで企業はコストを抑えられ、その分をお客さまが長く楽しめる施策やサービスに回せるようになります。
今回のような取組みを広げ、これが“当たり前”になる社会をつくっていきたいです。そうすれば企業とお客さまのより良い関係を築き、より多くの方が気軽にデジタル体験を楽しめるようになると信じています。

市本:セブン銀行では、ATMをあらゆる手続き・認証の窓口にしていく取組みも進めています。今回の施策は、それとはまた異なる新しいコミュニケーションの形です。これからも個人のお客さまだけでなく、法人のお客さまにも新しい使い方を提案しながら「ATMから始まる体験」を増やしていきたいです。ATMが日常のさまざまな場面で新しい価値を生み出す存在として進化していけるよう、挑戦を続けていきます。

※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。


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