2025.10.15
ATMリサイクルを支える舞台裏へ!約100%のリサイクル率を誇る、資源循環ストーリー
私たちが日々利用しているATMは、役目を終えた後どうなるのでしょうか?実はセブン銀行では、使い終わったATMのリユースと再資源化を徹底し、そのリサイクル率は約100%を達成しています。回収されたATMは、状態に応じて「リユース」と「リサイクル」に分類されますが、今回はそのうち、再利用が難しくなったATMを再資源化する「リサイクル工程」にフォーカスします。
普段は非公開の「ATMリサイクル工場」を特別にご紹介!ATMが生まれ変わる工程と、リサイクルのプロならではのこだわりを、イラストとともにご覧ください。
目次
ATMの“その後”! 1%も無駄にしない方法とは
セブン銀行では、店舗改装やATMの入替えにより役目を終えたATMを、まず倉庫に集めます。そして、一台ごとに状態を確認。そこで「リユース」か「リサイクル」かを、基準に沿って判断します。

傷や破損がなければ、基本的にはリユースへ。職人の手で細部まで丁寧にクリーニングを施し、新品同様の状態へと整えて、再び現場で活用します。
一方で、再利用が難しい場合には、素材ごとに適切に処理し、再資源化を行います。こうした取組みにより、「リサイクル率約100%」という高水準を維持しています。2024年にはこの体制のもと、現在のモデルの一つ前にあたる「第3世代ATM」を対象に、年間約7,500台のATMがリサイクルされました。
ATMリサイクルの最前線へ!プロの技が光る解体作業
リサイクル工場に到着したATMは、フォークリフトで慎重に荷下ろしされ、きれいに並べられます。
「解体作業」というと、巨大な機械で一気に破壊するイメージを持つかもしれません。しかし、実際は熟練スタッフによる手作業での解体から始まります。リサイクル効率を上げるため、ATMを構成するさまざまな部品を素材ごとに、丁寧に分別していくのです。
ATM一台に担当スタッフが一人つき、電動ドライバーなどを使ってパーツを一つずつ取り外していきます。一台あたり約30分で、解体から圧縮前工程までが完了。安全と品質を両立させながら、スピーディーに作業が進められます。

カード読取り部や紙幣ユニット、テンキーといった特定の機密部品は、犯罪への悪用を防ぐため特に厳重に管理しています。これらは取り外した後、再使用はもちろん、構造を把握できないレベルまで専用破砕機で完全に破壊します。 さらに、こうした特定の機密部品以外のパーツについても、ATMの既得性(製品としての価値)を保持したまま流通することがないよう、確実な機能破壊を実施。構造や機能の一部が残っているだけでも再利用や不正使用のリスクがあるため、細部にわたって処理を徹底しています。
一方で、ディスプレイは圧縮による機能破壊を行わずに取り外し、他社製品のパーツとして再活用されています。リサイクル工場に運ばれたATMでも、可能な限りリユースして環境負荷を抑える姿勢が、こうした工程にも表れています。
ダイナミックな機能破壊作業!ATMが資源に生まれ変わる瞬間
手作業での解体を終えたATM本体は、一台ずつプレス機へと投入されます。
巨大な金属板で強い圧力をかけると、周囲に「バキバキッ」「メキメキッ」という金属が軋む音が響きます。約2分後、高さが約4分の1になった「元ATM」の四角い金属の塊が現れます。
プレス直後はまだ熱を帯びており、かけられた圧力の強さが伝わってきます。これほどダイナミックな作業だからこそ、安全意識の徹底が不可欠です。現場では、指挟みの防止や稼働中の機械へ近づかないといった安全対策が徹底され、細心の注意を払って作業が行われていました。

こうして生まれた金属の塊は新たな鉄資源として再資源化されます。また、解体工程で分けたプラスチック部品も資源としてリサイクルされます。
過去には、素材の新たな可能性を探る実験的な試みとして、ATMの画面上部にある“バイザー”(半透明の盗み見防止部分)に用いられるポリカーボネート素材をスマートフォンケースに再生したこともあります。

見えない工程こそ丁寧に。ATMリサイクルに向き合う責任
ATMのリサイクルは、セブン銀行だけで実現できるものではありません。ATMの製造・リユース・リサイクルに携わる各パートナー企業との連携があってこそ、約100%というリサイクル率の維持と、全体の品質・安全性の確保が実現できているのです。
それぞれの現場と密にコミュニケーションをとり、情報共有や改善提案、技術連携を積み重ねることで、循環型のATM運用が支えられています。
たとえば、工場に運ばれてきたATMは原則として翌日までに機能破壊処理を完了させるルールになっています。これにより、台数を細かく管理し、ATMを回収する倉庫や工場の限られたスペースを有効活用しながら、スピーディーな処理によるセキュリティ保護を確立しています。
また、ATMが新世代モデルへ移行する際は、リサイクル工場でもあらかじめ見本となるサンプル機を取り寄せています。構造や素材、製造工程を把握することで、効率的な再資源化に向けた最適な作業工程を考えています。

こうした現場での知見は、セブン銀行とパートナー企業の間で共有され、次世代ATMの企画・開発時に活かされることもあります。「どのような素材なら再利用しやすいか」「リサイクル効率を上げるには、どのような設計が最適か」といった現場の声が、使い終わった後の循環まで見据えた、よりサステナブルなATMの実現に貢献しているのです。
資源循環のその先へ。技術と責任で未来を創造し続ける
セブン銀行は、「サステナビリティ(sustainability)」を長期的な経営戦略の根幹に位置づけ、それを実現するための重点課題として「将来への価値創造」を掲げています。その取組みの一つが、ATMの製造・運用における環境負荷の低減です。

消費電力の削減など省エネルギー化を実現することで環境問題に貢献しています
現場でのリユース・リサイクルと並行して、未来に向けた研究開発も並行して進められています。2025年2月には、東洋大学との産学連携による共同プロジェクトがスタートしました。この取組みでは、ATMの素材や構造に関する新たな知見を得るため、「傷がつきにくく、かつリサイクルしやすい部品設計」などをテーマに研究しています。さらに、自然界の構造を応用する“バイオミメティクス(生物模倣技術)”の視点を取入れた技術開発も検討中です。
これからもセブン銀行は、製造・リユース・リサイクルに携わるすべてのパートナーや研究機関と力を合わせ、今後も約100%のリサイクル率維持とATMのさらなる利便性向上を目指していきます。
社会インフラであるATMを通じて、持続可能な未来の土台を築けるよう、一つひとつの工程に真摯に向き合い、豊かな社会と地球の未来に貢献していきます。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。


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