2026.4.10
なぜセブン銀行は、銀行の常識を変え続けられたのか? 創業の当事者たちが語る進化の裏側
今では当たり前の存在となったセブン銀行ですが、創業当初は強い逆風が吹いていました。
小売と金融、異なる文化を持つ人財が集まり、手探りで始まった挑戦。
2026年、創業25周年を迎えるにあたり、当時システム開発のリーダーとして現場を走り回っていた代表取締役社長の松橋が進行役となり、創業期を知るベテラン社員2名とともに当時を振り返ります。
目次
「コンビニで銀行?」それぞれのスタートライン
松橋:創業期は、今とは全く違う環境でしたよね。まずは当時、お二人がどんな想いで、どんな仕事をしていたのか教えてください。
代表取締役社長 松橋 正明
K:私は創業の年に第二新卒並みの若さで入社して、総務部所属からスタートしました。
当時の総務部は、いまの総務、人事、経理業務が一つにまとまった部署だったので、いわゆる総務業務のほかにも、秘書業務や福利厚生業務、会計業務など幅広く、それに加えて、突発的に発生する他部署からの頼まれごとなどにも常に駆り出されていました。振り返ると、とにかく、何でもやるという状況でした。
ただ、オフィスがコンパクトだった分、各部署との物理的な距離も近く、社員全員が顔なじみのような関係でした。その後は人数が増えるのに合わせて、フロア移転やレイアウト変更を繰り返してスペースを捻出していましたね。
総務部 K
松橋:本当に小さな組織でしたよね。社員数は40人くらいで、忘年会のためにオフィスに全員が集まったら座る場所がなくて、立ったまま食べたのを覚えています(笑)。いかにも「ベンチャー企業」という雰囲気でした。
小林:私は創業の約半年前に入社しました。以前は別の銀行にいたのですが、「イトーヨーカドーが銀行をつくる」という求人を見て、ぜひやりたいと応募したのがきっかけです。ただ、当時の常識では考えられない試みだったので、辞める際には上司や先輩から無謀だと笑われました。でも、それが逆に「絶対に見返してやる」という気持ちにつながりましたね。
入社後はATMの運用などを担当しましたが、やはり前例がないことばかり。何をするにも手探りの連続でした。
事務ソリューション部 小林 英樹
松橋:私自身は「言うことを聞かないエンジニア」でした(笑)。「とにかく作るぞ!」と勝手にどんどん進めるスタイルで、よくお叱りを受けました。
小林:私ともよく衝突しましたよね(笑)。
松橋:本当にそうですよね、今となっては良い思い出ですが(笑)。私からすると小林さんは銀行出身で「少し堅いな」という印象でしたが、それはバックボーンが違っていたからこそだと思います。
当時の社員は、小売、金融、その他という3つのルーツを持つ人財が3分の1ずつを占め、異なるバックグラウンドが共存していました。業界用語もカルチャーも違うので話が通じず、噛み合わなかったですね。
小売と金融の交差点。ぶつかり合いで生まれた「セブン銀行らしさ」
松橋:小林さんはコールセンターにいたこともありましたが、印象に残っている言葉はありますか?
小林:正直にお話しすると、かかってくる電話のほとんどは、お褒めの言葉ではなく「分からない」「使えない」「何とかしろ」というお叱りでした。
店舗からすれば、ATMがなければそのスペースに商品を置いて売上にできます。しかも、ATMは場所を取るうえに、止まればお客さまから怒られるのは店舗の皆さんです。その不満がコールセンターに届き、「こんなものいらないから持って帰ってくれ」とおっしゃる方もいました。
まだ利用が少なく、店舗にとっての「集客」や「売上貢献」という価値が見えていない段階でしたから、そう言われても仕方がない状況でした。
松橋:最初はATMの稼働も安定せず、よく止まりましたしね。
小林:はい。お客さまも慣れていないので、悪気なく、お金と一緒にクーポン券や硬貨などを入れてしまい詰まってしまうこともありました。
K:システム障害が起きたときには、社員全員でおわび状の封入作業をしたこともありましたね。まだ人数も少なく、所属部署や役職などにこだわっていられない状況だったので、社長も役員も関係なく、とにかく全員で対応するしかありませんでした。
松橋:本当に大変でしたが、こうしたトラブルを乗り越える中で、「お客さまにとってどうか」という判断基準が形になっていきましたよね。
象徴的だったのがATMでの、キャッシュカードや現金の取り忘れ対応です。当時の銀行の常識では、現金の取り忘れがあった場合、安全のためいったん機械内にそのまま保管し、別途担当者が確認し返却するのが正解とされていましたので、すぐお返しできない状況でした。
しかし社内では、「それは本当にお客さまのためか」という議論が起きたんです。無人で運営しているコンビニATMでは、担当者が行って確認するまでに時間がかかります。その間、ATMは使えません。小売出身のメンバーからは、お客さまのご迷惑になるので「すぐにお返しすべきだ」という声が上がりました。
小林:私は当時、リスクを最小限に抑えることが銀行としての誠実さだと思っていました。だからこそ、小売の方の「とことんお客さまのために」というスタンスには正直戸惑いました。
でも、「その考えを変えないとお客さまに使ってもらえず、この会社の未来はない」と言われ、私自身の発想を変える大きな転換点になりました。
松橋:結果として、機械が自動で金額を数え直し、取引きを取消して復旧させる仕組みを採用しました。実際にキャッシュカードを取り忘れて戻ってきたお客さまに、「ありがとう、非常に画期的だ」と泣いて喜ばれたこともありましたね。
当時社内で合言葉のように使っていたのが「みんなのATM」という言葉でした。お客さま、店舗、私たち全員にとって価値のある存在でありたい、という思いを込めた言葉です。現場でぶつかり、悩みながら判断を重ねる中で、今のパーパスにもつながる「セブン銀行らしさ」が醸成されていったのだと思います。
25年で変わった景色。それでも変わらないもの
松橋:25年間で、会社は大きく変わりましたね。創業期には黒字化という大きな山もありましたが、それを越えて今日まで歩んできました。
お二人は、今と当時を比べてどんな違いを感じますか?
小林:良い意味で変わらないのは、経営陣と社員の距離ですね。これほど近い企業はなかなかないんじゃないでしょうか。風通しが良く、社員も意見が言いやすい環境だと思います。
松橋:そう言ってもらえるのは、素直に嬉しいですね。組織として常にフラットでありたいというのは、私自身が強く願っていることです。組織が大きくなっても、目の前の課題をみんなで解決し続けるためには、役職に関係なく意見を言い合える環境が不可欠なので、今後も大切にしたいと考えます。
K:そうですね。一方で、組織が大きくなったからこその変化も感じます。創業期は部署の垣根が低くて、誰もが部門や役割にとらわれずオールラウンダーとしてスピード感をもって動いていました。今は組織が整備されて専門性が高まった分、当時の混沌としたお祭りのような熱気と比較すると、スマートに整理されて落ち着いた空気感になっているかもしれません。
あの頃の熱量は、今も続いている
小林:振り返ってみると、創業期の私たちは、全員が同じゴールに向かって、無我夢中で走っていたのだと改めて思い出しました。 今の若い社員たちは非常に優秀で、頼もしさを感じる一方で、組織が大きくなった分、どうしても「自分の部署」や「役割」に閉じてしまいがちな側面もあるかもしれません。
しかし、セブン銀行の成長の原動力は、個人のスキル以上に「チーム一丸となって突き進む熱量」にあると私は信じています。 優秀な今のメンバーが、あの頃のような「熱さ」を持ってパーパスに向かえば、もっと面白いことができるはずです。私自身も、その熱源の一つであり続けたいと強く思いました。
K:お二人と25年前の話をして、当時の「熱気」を懐かしく思い出しました。当時は組織も小さく、部署の垣根を越えて、目の前の課題に全員で知恵を出し合って挑んでいました。あれから会社は大きく成長しましたが、変化の激しい今の時代こそ、お互いの領域に興味を持ち、スピーディーに連携していく姿勢がより大切になっていると感じます。
私たち自身も常にバージョンアップし続けなければなりません。創業期の「前例がないことに面白がって挑戦する」というクリエイティブな精神を胸に、これからもお客さまの期待を超える「未来」を生みだしていきたいですね。
松橋:今日の座談会を経て、セブン銀行は現場の熱量でできている会社なのだと改めて実感しました。システムやATMが注目されがちですが、創業期から今日まで、前例のない中で泥臭く走り回り、お客さまのために議論を重ね、自ら悩みながら進む「人」こそが、私たちの最大の資産です。あの頃の「何とかしてやろう」という不屈の精神が、今のセブン銀行の土台になっていることを誇らしく思います。
会社が大きくなると守りに入りがちですが、セブン銀行のDNAはやはり「挑戦」にあります。ベテラン社員が培ってきた「お客さまの立場での判断軸」を羅針盤にしつつ、若い社員には失敗を恐れずに新しい景色を見に行ってほしいですし、そんな挑戦が自律的に立ち上がり、各自進んでいく企業文化を創り続けていきます。
「絶対にムリ」と言われた挑戦を、社会インフラという当たり前に変えてきたセブン銀行の25年。この熱量を持ったまま、AIやデジタル技術が進化する次の時代に向けてどのような未来を描こうとしているのか、同じメンバーで語り合う続編も後日お届け予定です。どうぞご期待ください。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
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