2026.3.2
止まらない金融インフラをつくる。セブン銀行が挑む“安心・安全”の裏側
いつも当たり前のように利用しているセブン銀行ATM。その稼働率は99.98%(24年度末時点)となっていて、原則24時間365日、暮らしのそばで止まることなく稼働し続けています。
この「止まらない金融インフラ」は一体どのように守られているのか。今回は、その裏側にある技術と想いを、ATM、口座システム、全社のBCP(事業継続計画)を担う各担当者に聞きました。
目次
なぜ、セブン銀行は「止まらない」にこだわるのか
—セブン銀行のATMは「金融インフラ」とも言われますが、その役割や責任をどう捉えていますか?
H:当社には「ATMは止まらないことが当たり前」という強い意識があります。もしATMが止まればお客さま、ひいては社会的にも大きな影響が出てしまいます。そうした責任感は部門を問わず全員に浸透しています。
ATMソリューション部 H・A
飯島:ATMだけでなく口座関連でも、災害や障害が発生した際には、まず「お客さまにどのような影響が出ているか」を最優先に確認、復旧を急ぎます。
椎名:銀行は金融庁からの免許事業であり、国からも「止めない」ことが求められています。当社では現在15の業務を止めてはいけない「必須業務」として定めており、どんな状況でも継続できるよう、システムも人員も二重化、かつ「アクティブ・アクティブ構成」にして守り抜いています。
総務部 椎名 重行
サービスを止めないために。「アクティブ・アクティブ構成」の秘密
—聞きなれない言葉ですが、具体的にどのような仕組みですか?
H:まず、前提となる「二重化」は東西2拠点体制のことです。東日本と西日本にそれぞれ同じ仕組みを配置し、一方に障害が発生しても、もう一方が稼働してサービスを維持する仕組みのことです。この東西2拠点体制自体は、どの金融機関でも一般的ですね。
飯島:当社の基幹系システムで特徴的なのは「アクティブ・アクティブ構成」です。簡単に言うと、2つの仕組みをメインとサブに分けるのではなく、両方を常にメインとして稼働させる構成です。例えば、勘定系システム(主に口座情報を扱うシステム)では「東西交互運用」という方法で、1カ月のうち3週間は大阪、1週間は東京、と定期的に切り替えながら稼働させています。
この方法により、両方の仕組みが正常に稼働することを常に確認でき、災害や障害などの非常時でも確実に継続できる仕組みを整えています。
金融ソリューション部 飯島 啓
H:ATMシステムについても同様に「アクティブ・アクティブ構成」を構築していますが、運用については「切り替える」という概念がありません。物理的な拠点は東西に分かれ、通常、東日本のATMは東のセンターに、西日本は西のセンターにつながっていますが、これは固定されたものではありません。一方に障害が起きれば、自動的にもう一方のセンターへ接続しにいく設計になっており、システムの切り替えを意識することのない仕組みができています。
山川:セブン銀行のATMは、全国どこでも同じスペックで使えるのが強みです。設置場所によって機種や機能に差が出ることなく、全国どこのATMでも同じことができる。これを「当たり前」として提供し続けることが、お客さまへの安心感につながっていると考えます。
総務部 山川 篤
椎名:お問合せを受けるコンタクトセンターについても同様です。東西の拠点で分散して対応しているため、片方が被災しても、もう片方でカバーでき、お問合せ対応が止まることはありません。システムと同じく、お客さまとの接点も途絶えさせない仕組みを徹底しています。
「何も起きない」ことを守る。ATMと口座システムの裏側にある仕事
—仕組みを整えるほかにも、サービスを止めないために日頃から意識していることを教えてください。
椎名:災害対策本部の設置基準は震度6弱以上など一定の目安がありますが、基準に満たない場合でも必ず情報収集をしています。能登半島地震の際も、各所から情報を集めて、いつでも動けるよう状況を注視していました。
山川:どんな規模の地震でも、発生すれば夜中でも起きて状況を確認します。「何もなくてよかった」という状態を確認できるまでが仕事、という感覚ですね。
飯島:システム側では、災害発生時にかかわらず「何か変かもしれない」という予兆があればすぐに動く体制を組んでいます。エラーにつながりそうな予兆が感知された際は、システム部門担当にて一次切り分けをし、遅くとも1時間以内には全社員が閲覧可能なツールで関係者に招集をかけ、すぐにメンバーが集まって状況確認が開始されます。
結果的に何もなかった場合でも「その程度のことでなぜ呼んだ」と怒る人は誰もいません。“止まる前に解決するのが最善”という考え方が根付いています。
—例外的に止める必要がある場合は、どう対応しているのでしょうか?
飯島:以前、勘定系システムの更改で、どうしても12時間サービスを停止する必要がありました。この「12時間の停止」は、開業以来数えるほどしかない、当社にとっては非常に大きな決断でした。
その12時間を安全に実施するために、影響調査や告知、リハーサルなどの準備には2年以上かけました。私自身、終わったあとは「この12時間のために、これほどの時間を費やしてきたのか」と、金融システムを守る責任の重さと、無事にやり遂げた達成感を同時に味わいましたね(笑)。
H:ATMは、システムに変更がある場合でも、止めずにリリースすることが前提です。勘定系システムと同様、年単位で時間をかけて立てた計画を、ATMの稼働と並行させながら少しずつ少しずつ、リリースしていきます。
—普段の運用面でも、ATMを止めない工夫があれば教えてください。
山川:ATMは内部の現金がなくなっても、多くなりすぎても止まってしまいます。そのため、補充と回収方法を工夫しています。ATMの利用データをもとに「いつ補充・回収すべきか」を常に監視して対応することで、ATMが停止する前に補充・回収するサイクルができています。
H:万が一故障した場合も、システムが自動で検知し、警備会社へ出動要請がかかる仕組みができています。「人が状況を確認して連絡する」というタイムラグをなくすことで、より早い対応を可能にしています。
時代が変わっても、「止まらない」を守り続ける
—今後の展望について教えてください。
飯島:技術やサイバー攻撃の手法はこれからも進化していきますが、私たちの根幹である「安心・安全」の定義や大切さは変わりません。時代が変わっても「当たり前に使える」を守り続けることが、私たちの変わらぬ使命だと思っています。
山川:日本は地震や台風などの災害も多く、災害に備える方もどんどん増えていると思います。ただ、いくら個人の方がそれだけ備えていても、インフラ側が止まってしまえば生活に大きな影響が出ることを、私たちは東日本大震災で痛感しました。
当時、被害の大きかった地域へトラックにATMを載せた『移動ATM』を派遣する体制を構築したように、災害発生を見越したBCP(事業継続計画)体制も、常に進化させていくことが重要だと感じています。
椎名:そうですね、総務部としても今後はAIなどの技術を採り入れて、災害対応の自動化・効率化を進め、人の手に頼りすぎない強固な体制を築くことで、「止まらないATM」を裏側から支えていきたいですね。
H:災害時には「手元にキャッシュカードがない」「スマートフォンの充電が切れた」という状況も考えられます。セブン銀行ATMには事前に顔情報を登録していれば手ぶらで現金を引出せる『FACE CASH(フェイスキャッシュ)』というサービスがあります。これも単なる便利な機能ではなく、非常時の「大きな安心」につながる機能です。防災対策の一つとして、ぜひ皆さんにも知っておいていただきたい機能です。
—最後に、セブン銀行が目指す未来の姿を教えてください。
山川:セブン銀行といえばATMのイメージが強いですが、私たちはその枠にとどまらない存在になりたいと考えています。ATMを「金融だけでなく、あらゆる生活サービスの窓口」へと進化させる、そんな新しい価値を提供し続けていきたいですね。
飯島:そのためにも、今後はシステム更改のような守りの作業をより効率化し、そこで生まれた余力を新しいサービスやお客さまへの価値提供に注いでいきたいです。
H:最終的には、ATMが空気のように存在し、意識しないほど“当たり前の存在”になることを目指しています。そんなインフラであり続けるために、これからも事業を進化させていきます。
災害時に知っておきたい「お金」の知識と、私たちにできること
いざというとき、金融インフラは「現金を引出す」以外にも、被災者の生活再建や支援の輪をつなぐ役割を担っています。万が一の際に役立つ公的な情報や、ATMの活用方法についてまとめました。
災害等における被災者等支援について|金融庁(外部Webサイトに遷移します)
災害時に金融庁が各金融機関へどのような対応を要請しているかをご確認いただけます。
大規模な自然災害でローンの返済が困難になったら|全国銀行協会(外部Webサイトに遷移します)
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」について分かりやすく解説されています。
ATM募金:「困っている誰かのために」、その気持ちを支える|セブン銀行
「遠く離れた場所からでも、被災地のために何かしたい」。そう思ったとき、身近なATMが支援の架け橋となります。
セブン銀行ATMでは、常時複数の団体を通じ、募金が可能です。大規模災害等発生時に、被災された方々を支援する募金も受付けています。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
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