2026.7.15
なぜセブン銀行ATMの画面は変わったのか?新デザインの背景にある「ユーザーへの想い」に迫る
ボタンの位置は変わっていないし、操作の手順も同じ。でも、なんとなく画面の印象が変わった気がする――。2026年3月、セブン銀行ATMがひそかに、けれども大きな「アップデート」を行いました。それは、ATMの画面背景デザインのリニューアル。何気なく使っているだけでは見過ごされてしまうかもしれない細部に、なぜこだわるのか。今回は、リニューアルプロジェクトを手がけた社内デザインチームに、画面デザインに込めた想いや、社会インフラとしてのATMが目指す姿について話を聞きました。
目次
「なんか変わった?」気づいた人だけが知る、静かなアップデート
セブン銀行では、ATMの初期画面としては3年ぶり、ATM画面の背景デザイン全面リニューアルとしては7年ぶりに実施しました。
桜並木を歩いていく人や、木陰で一休みしている人。画面の中にはさまざまな「人」のくらしがやさしいタッチで描かれています。こうした日常のちょっとした変化に気づいた方からは、SNSなどで「なんだかATMの画面が変わった気がする!」との声も聞こえていました。
これまでにもATMの画面背景に季節に応じたデザインを表示していましたが、今回のリニューアルには、社内デザインチームの手によって、セブン銀行からお客さまへ伝えたい「感謝」と、お客さまと社会、そしてお客さまとセブン銀行を結ぶ「つながり」への想いが込められています。
機能は変えない。でも、体験は変える。リニューアルの狙い
―今回の背景デザインのリニューアルについて、具体的にどのような変更をしたのでしょうか?
黒本:イラストを新たに描き起こし、季節に応じた12枚の背景をデザインしました。春を感じる桜並木や、クリスマス、お正月など、季節のイベントを含めてデザインチームで検討を重ねました。イラストを担当する遠藤にラフスケッチを描いてもらい、ATM内製開発チームとも連携しながら、「イラストの中での情報が多くなりすぎていないか」「逆に少なすぎないか」など、バランスを細かくチェックしながら進めていきました。
ATMソリューション部 ATM開発グループ 黒本 和美
―リニューアルの実施に至った背景や、込めた想いについて教えてください。
黒本:2026年は、セブン銀行にとって創立25周年という節目の年でもあります。これまでセブン銀行ATMをご利用くださっているお客さまへ、あらためて「ありがとうございます」とお伝えしたい——そんな気持ちが、今回のリニューアルの出発点になりました。
コンセプト設定の際に思い浮かべたのは、ATMを利用するお客さまの姿でした。当社のATMは入出金に加え、口座開設や住所変更といった各種手続きにも対応しています。ATMで手続きをする人の中には、日々忙しく、窓口に行く時間を捻出しなければいけない方も多いのだろうな、と。そんなお客さまへ、画面越しに感謝の気持ちを表現したいと考えました。
また、キャッシュレス化が進んだ今の時代に現金を用意するのは、お祝いやお礼など、誰かを想っての行動であることも多いはずです。そこにはきっと、相手を気遣うあたたかいやり取りが生まれていると思います。デジタルな取引であっても、その先にいるのは人です。こうした背景から「人と人とのつながり」というコンセプトに行き着きました。
遠藤:以前の背景には人物がいないものも多かったのですが、「つながり」や「温度感」を表現したいと思い、今回のリニューアルでは意図的に人物を登場させています。
ATMソリューション部 ATM開発グループ 遠藤 彰
―リニューアルを進める中で、苦労された点はありますか?
遠藤:12枚のイラストを実際にATMの画面で表示してみると、パソコンのモニターで見ていた時とは印象が異なり、背景の中でポイントになるはずの要素が少し見にくかったり、見る角度によって色のイメージが変わったりといった点が気になることも多かったです。要素の配置や量を調整しながら、実機で細かく検証と修正を重ねるプロセスは、苦労した点かもしれません。
黒本:お客さまの身長によっても見え方が変わるため、実際に私たちもかがんでみたり、踏み台に乗って上から見下ろしたりと、さまざまな見え方で検証しました。もちろん、車いすのお客さまの目線でも同様にチェックしています。デザインの検討段階からATM内製開発チームと一緒に実機を使ったチェックも気がねなく行うことができたからこそ、こだわりをしっかり実現できたと思います。
―デザインでこだわったポイントや、ぜひ見てほしいところはありますか。
黒本:実はお取引きのフローに沿って3枚の画像が用意されていて、取引きが進むごとにイラストが変化していく仕組みになっています。最初は朝の風景、続いてお昼、最後は夕暮れ……といったように、時間経過やストーリー性を感じられるように構成しています。日々ATMをご利用いただく中で、その変化を楽しんでいただけるとうれしいですね。
遠藤:背景のイラストは約1カ月ごとに変化しますが、つながりを持たせたものも隠れています。翌月につながるだけでなく、少し期間をあけてつながっているものや、同じ人が登場していたり、同じモノが登場していたり。セブン銀行ならではの遊び心を入れたイラストもあるので、そうした「隠し要素」も見つけながら、お取引きの時間も楽しんでいただけたらと思います。
ラフスケッチ(左)から完成した、7月の背景イラスト。取引きの進行に合わせて移り変わる
見えないところを、見ている。デザインチームが語る細部へのこだわり
―こまやかなこだわりを支えているのが、社内のデザインチームの存在だと伺いました。チームの役割や存在意義について教えてください。
黒本:社内でデザインを担う内製チームが発足する前は、ATMの画面イメージ制作は外注していました。しかし、セブン銀行が実現したいデザインや世界観への細かな調整は、どうしても外部とのやり取りだけでは限界がありました。現在は私たちデザインチームが、ATM内製開発チームとも密にコミュニケーションをとりながら業務にあたっているので、アイデアを形にしたり、実装してみたりといった検証もスムーズになり、開発のスピードも上がったと感じています。
―背景デザインのような情緒的な部分だけでなく、UI/UX※においても妥協がない印象です。細部までこだわりを貫くのは、どのような想いからでしょうか。
黒本:私たちにとってATMはお客さまと直接つながる唯一の接点です。だからこそ、より良いUI/UX※を提供するためにかなりのこだわりを持って開発にあたっています。たとえ気づかれないようなところでも、「こうしたほうがお客さまの使いやすさにつながる」と考えれば、妥協せずに実装することを大切にしています。
- ※UI(User Interface/ユーザーインターフェース)はユーザーが製品に触れる接点となる画面や操作部分のこと、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は製品やサービスを通じてユーザーが得る体験全体を示す。
―画面のデザインとしての「美しさ」と、ATMに不可欠な「機能」を両立させるために、意識されたことはありますか?
遠藤:操作ボタンなど、ATMに必要な既存の機能を邪魔しないことが第一でした。背景に操作画面が重なったときに要素が邪魔をして文字が読みにくくならないか、文字とイラストの色が似ていて視認性が落ちないかなど。見やすさと操作のしやすさには、もっとも気を配りました。これらは今回のリニューアルに限らず、あらゆる画面デザインにおいても重視していますね。
―ユニバーサルデザインの観点についても意識されていますか?
黒本:はい。例えば、一般的な色覚の人にとっては目立つ色でも、色覚特性のある方にとっては、ほかの文字の色と似通ってしまい、重要なお知らせを見落としてしまうことがあります。こうしたことが起こらないよう、色覚特性のある方と同じ色の見え方になるツールを使いながら「この色はどう見えるか」を実際に見ながらATMの画面をデザインしています。
ATMは、まだ進化できる。セブン銀行が挑む「誰もが使いやすい社会インフラ」
―今後トライしたいことがあればお聞かせください。
遠藤:自分たちが作ったものが無事にリリースされ、画面背景が切り替わったのを目にしたときの感動は今も鮮明に覚えています。今後については個人的なアイデアの段階ですが、少し動きのある背景もやってみたいなと思っています。今は静止画ですが、操作に応じて人が動いたり、犬が走ったりといったように、もっと楽しくなるような画面を作ってみたいなと思っています。
黒本:私のチームでは、操作フローの改善やボタンの文言調整など、細かなUI/UX改善を担当することが多いんです。なので、今回のように背景デザインの全面リニューアルに携われたのは新鮮でした。創業以来、UI/UXにとことんこだわる当社で、ボタンの文言一つにまで追求して成果を出すのは楽しいですし、改善にもどんどん取組んでいきたいです。
―ATMの改善を通して、セブン銀行が目指す未来についてお聞かせください。
黒本:ATMというのは「使いたいから行く場所」というよりも「必要だから利用する場所」です。でも、だからこそ満ち足りた気持ちでお帰りいただきたいなと考えています。「画面が見やすかった」「操作に迷わなかった」「背景が新しいものになっていた!」など、いろいろな観点から、ATMの利用体験をより良いものにしていきたいです。それが、お客さまに価値を感じていただくことにも、誰もが気持ちよく利用できるアクセシビリティの向上にもつながると思っています。
―そうした「より良い体験」の追求は、全社的な動きへと広がっているのですね。
黒本:そうですね。UI/UXだけでなく、デザインの雰囲気やテイストへの意識も社内で高まりつつあると感じています。デザインチームが主体となって社内勉強会を開き、デザインの見方や考え方を伝え、これまで見落とされがちだったポイントにまで目を配る意識を、部署単位から全社へ行きわたらせる活動を始めつつあります。「セブン銀行らしい、やさしくて使いやすいデザイン」とはどのようなものかを考え、統一されたイメージを形にしていくことが、今後の私たちの使命だと思っています。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
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