2026.6.15
ATMの「脱自前」が切り拓く!西京銀行×セブン銀行が挑む新たな常識
2026年4月20日、山口県周南市にある周南公立大学のキャンパスに、西京銀行とセブン銀行の共同ATM第1号機が設置されました。山口県に本店を置く西京銀行は、2029年までに約80台におよぶすべての自行ATMをセブン銀行ATMへ入れ替える決断を下しました。
今回は、プロジェクトの裏側や両行が描く未来について、西京銀行 執行役員システム部長の山下さん、総合企画部長の山本さん、そしてセブン銀行 常務執行役員の深澤に話を聞きました。
目次
ATM全台をセブン銀行に。西京銀行が踏み出した一歩
―無事、共同ATM第1号機の設置・サービス開始セレモニーを迎えられました。率直なお気持ちをお聞かせください。
山本:第1号機がしっかり稼働し、設置先の周南公立大学の皆さんにも喜んでいただけて本当にほっとしています。学生や地域の方々に新たな価値を提供する取組みを無事スタートできたことが素直にうれしいですね。
株式会社西京銀行 総合企画部 部長 山本 祐資さん
山下:システム担当者として、何よりも「無事に稼働している」ことに安堵しています。両行で幾度も重ねてきた協議が、ついに形になったという実感があります。
株式会社西京銀行 執行役員 システム部長 山下 昭さん
深澤:我々としても、西京銀行のお客さまに、新しい利便性をお届けできる入り口に立てた、記念すべき日となりました。
―2029年までに西京銀行の全ATMをセブン銀行ATMへ入れ替え、『+Connect』(プラスコネクト)を導入されるそうですね。
山下:当行は2024年に、全店舗をカウンターレスの「コンサルティング店舗」へリニューアルし、事務手続き中心から、お客さまに寄り添う場へと転換を進めてきました。その変革の流れの中でATMのあり方も見直すタイミングにあり、セブン銀行ATMへの入れ替えと『+Connect』の導入が、お客さまの利便性を大幅に高めると考えたのです。
『+Connect』とは
『+Connect』は、全国のセブン銀行ATMが「あらゆる手続き・認証の窓口」となるサービスです。今回の取組みでは「ATM窓口」を導入し、口座開設や各種届出情報の変更、在留期限の更新などが可能になります。また、「ATMお知らせ」を活用することで、お客さまは必要な情報をタイムリーに受取り、ワンストップで手続きまで完了できるようになります。
本サービスは、口座/預金の獲得やAML強化、外国人口座利用者への対応など、さまざまな用途でご活用いただけます。
キャッシュレス化と、自行ATMを維持し続ける重さ
―全ATMの入れ替えを決断された背景を教えてください。
山本:背景にあったのは、キャッシュレス化の進展です。現金が使われる機会が減るなかで、当行でもこの10年で自行ATMの台数を半減させてきました。そんな折、長年お付き合いしてきたベンダーがATM事業からの撤退を表明されたことが、入れ替えを本格的に検討する直接の引き金となりました。
山下:お客さまの利便性とATMメーカーをめぐる業界再編の動きも考慮した結果、セブン銀行にお願いするのが最善の選択だと判断したのです。
―セブン銀行は、業界全体のこうした課題をどのように見ていましたか。
深澤:キャッシュレス化の進展やATMメーカーの撤退、ATM維持コストの高騰などの環境下である一方、日本では依然として現金利用ニーズが非常に高い状況です。だからこそ我々がスケールメリットを活かしながらATM運営を効率化・高度化してお客さまの付加価値へと変えていく。地域の金融機関さまとともに新しいATMの価値訴求を進めることこそが、セブン銀行のATM事業の本質だと考えています。
常務執行役員 ATMプラットフォーム推進部、ATM+企画部担当 深澤 孝治
全行員による討論会と、「記帳機を自行でつくる」という決断
―最終的にセブン銀行を選ばれた決め手は何だったのでしょうか。
山本:当行のお客さまにとって、セブン銀行ATMがすでに「使い慣れた提携ATM」として浸透していたことが大きいです。加えて、BCP(事業継続計画)の観点でほぼ止まらないこと、現金補充のスピード、誰もが使いやすいユニバーサルデザインなどを総合的に評価しました。
山下:通常のATMは入出金に機能が絞られがちですが、セブン銀行ATMは『+Connect』など、主体的に機能開発を進められています。この「チャネルとしての拡張性」の差に未来を感じました。また、「絶対に止まらない」仕組みを自行で構築し続ける膨大な負荷を手放せるのは、当行にとっても大きなメリットでした。
山本:ただ、当行は約80台という規模であり、我々としてはお願いする立場でしたから、「断られたらどうしよう」という不安もありました。ATMの維持そのものが危うくなるのではないかという焦りも、実は抱えていたんです。だからこそ頭取自らが、我々の想いをセブン銀行さまにお伝えしました。
深澤:お話をいただいたとき、私自身もまずその「熱量」を感じました。「当社ATMを通して、お客さまへの新しい利便性を創っていきたい」と真っすぐにご相談いただいたことがうれしかったですね。単なる機器の入れ替えではなく、同じ方向を向いて新しい取組みを進めるパートナーになれると強く共感し、ぜひご一緒したいとお返事しました。
深澤:西京銀行さまの企業理念である「ACT-BANK」、特に「時代のニーズを先取りし、創造していく銀行」と、我々の「お客さまの『あったらいいな』を超えて、日常の未来を生みだし続ける。」というパーパスには通じるものがあります。一緒に地域密着型の新しい金融サービスの形をお客さまに提供していきたいという想いが一致したことが、今回の取組みにつながったと思います。
―「自行のATMがなくなる」ことに対し、行内の反応はいかがでしたか。
山下:全行員に「忌憚なく意見を出してほしい」と投げかけ、1カ月かけて意見を集約しました。もっとも懸念だったのは「ATMから通帳記帳の機能がなくなる」という点です。行員の負担が増えると現場から猛反対されるのではと覚悟していましたが、フタを開けてみると前向きな声ばかりでした。
山本:記帳機能がなくなったとしても、「記帳のためにご来店いただくことでお客さまとの接点が増え、結果としてコンサルティング機会の創出につながる」と、現場の行員が好意的に捉えていたのには驚かされました。
深澤:実はそのアンケート結果は、我々にも共有いただきました。普段聞くことができない社内の生の声を、対等なパートナーとして共有いただけたことが本当にうれしく、我々も「期待に応えよう」と身が引き締まる思いでした。
―お客さまからの不安の声には、どう向き合われたのでしょうか。
山下:やはり「ATMで記帳ができなくなる」ことへの不安解消が最大のテーマでした。そこで、当行のシステム内製化の強みを活かし、記帳機を自行で開発することに踏み切りました。
山本:山下が「自分たちで作ろう」と言いだしたときは驚きました(笑)。ですが、システム部門を内製化へ切り替えた矢先だったからこそ生まれた発想だと思います。
深澤:機器はメーカーがつくるのが当たり前の世界で、銀行が自ら記帳機能を開発するというのは、なかなかない挑戦ですよね。内製化できる力があることが、こうした柔軟な発想と開発のスピードに直結しているのだなと思います。
「金融の共通インフラ」として、両社が描く未来
―ATMの維持・管理から解放された資金や人財を、今後はどこに注力されますか。
山下:削減できたコストは、新たなチャネル戦略に投資していくイメージです。『+Connect』によって口座開設などの手続きがATMで完結すれば、窓口業務の軸足を「事務処理」から「コンサルティング」へと大きく移すことが可能になります。「手続き」ではなく、お客さまの「ご相談」にお応えする場へと、店舗の役割をシフトさせていく考えです。
山本:4月24日には新しいスマートフォン専用アプリ「さいきょうスマホバンキング」の提供も開始しました。アプリとATMをシームレスにつなぐことで、セブン銀行ATMとの連携を深め、非対面チャネルをさらに強化したいですね。キャッシュカードレス決済の導入なども含め、これからも一緒にアイデアを練っていきたいです。
―最後に、同じ課題に悩む全国の金融機関の方々へメッセージをお願いします。
山本:当行では、お客さまの利便性や付加価値の向上を大切にしながら、サービスのあり方を検討し、その実現に向けた取組みを進めてきました。
山下:ATMを単なる入出金機ではなく、「新たなサービスを提供するチャネル」として捉え直すことで、可能性は大きく広がります。そして、悩むより先に決断し、スピード感を持って動くこと。それが変革への一番の近道だと実感しています。
深澤:お客さまのニーズは時代とともに変化し続けています。我々のATMはお客さまとの最大の接点として、その変化に柔軟に対応しながらさらなる進化を目指します。地域の皆さまに「新しくなって便利になったね」と言っていただける世界を、そしてATMが行政手続きなども含めた、さまざまな手続きのハブとなる未来を築いていきたい。我々セブン銀行は、皆さまのその先にいらっしゃるお客さまに、これからも全力で向き合ってまいります。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
その想いを超え、日常のみらいへ。
セブン銀行は、あなたの毎日をもっと便利に、もっと快適に。



