2026.9.1
【セブン銀行公式X】“問合せるほどではない”を拾う。ソーシャルリスニングの取組み
SNSには、「ちょっと困ったけれど、わざわざ問合せるほどではない」という、お客さまの何気ない声が投稿されています。こうした声を収集・分析し、サービス改善などに生かす取組みが「ソーシャルリスニング」です。
セブン銀行では、このソーシャルリスニングで見つけた声の中から、サポートを必要としている方を担当者が見極め、公式Xアカウントで直接お声がけする「SNSアウトバウンド」という取組みを行っています。
SNS上に寄せられる声の中から、サポートが必要と思われる投稿に目を向け言葉の奥にあるお気持ちを想像する。ときには返信をせず、見守ることも含め、適切な言葉と距離を考えています。AIが普及する昨今において、なぜこれほどまでに「人の手」によるSNS対応にこだわるのか。実務に携わるリテール戦略デザイン部とATMオペレーション統括部の担当者に話を聞きました。
目次
問合せを待つだけでは届かない声を、SNSで見つけに行く
―まず、「SNSアウトバウンド」とは、具体的にどのような取組みなのでしょうか。
ATMオペレーション統括部担当者(以下、A):例えば、システム障害などにより特定の電子マネーへのチャージが一時的にできなくなったとき、SNSにはお客さまの困惑の声が多く投稿されます。そうした、問合せを目的としていないSNS上の声をソーシャルリスニングでいち早くキャッチし、「セブン銀行ATMからであれば、チャージが可能です」など、いま伝えられることを先回りしてお届けするのが、当社が行っているSNSアウトバウンドです。
ほかにも、「近くのATMを探している」「ATMから現金を取り忘れてしまった」といった困りごとに対しても、お声がけすることがあります。特にお金に関わることは不安や焦りが大きくなりやすいため、なるべく見逃さないよう努めています。
ATMオペレーション統括部 A
リテール戦略デザイン部担当者(以下、R):SNSでの対応は、ATM関連(オペレーション統括部対応)と口座関連(リテール戦略デザイン部対応)の2つのチームが連携して行っています。SNSアウトバウンド専任の担当者はおらず、当部ではコンタクトセンター運営に携わる社員が、通常業務の知見を生かして対応しています。口座関連の投稿で多いのは、「セブン銀行口座をつくりたい」「キャッシュカードをなくした」「パスワードを忘れた」といった内容ですね。実は、このインタビューの直前にも、お困りの声に返信してきたところでした。
―そうした投稿は、どのように見つけているのでしょうか。
A:SNSの専用ツールで、設定したキーワードを含む投稿を確認しています。ATM関連であれば「セブン銀行ATM」といったキーワードですね。お困りの方を探し、必要と判断すれば担当者が返信文を作成。チーム内で確認と承認を経て、公式アカウントから返信します。
連休明けなどは該当の投稿が1日300件を超えることもありますが、状況を見極めたうえで返信しているため、実際にお声がけするのは1日につき数件程度です。
―なぜ、問合せを待つだけでなく、こちらから声を見つけに行くのでしょうか。
A:セブン銀行は実店舗がないため、お客さまの生の声に触れられる機会が限られています。ATM取引のうち、備付けのインターホンからお問合せをくださる割合は全体の約0.04%。つまり本当に困った状況にならなければ、わざわざ電話をかけない方がほとんどなのです。その点、SNSなら「少しだけモヤモヤする」「こうだったらいいのに」といった生の声も拾えるため、とても貴重な接点だと感じます。
R:SNSでのやり取りは、投稿者以外の方にも見ていただけます。そのため、困っている方をサポートするだけでなく、セブン銀行のお客さま対応への姿勢を伝えられることにも意味があります。
また、「便利だった」という声に感謝を伝えられるのもSNSならではですね。
声をかけるか、見守るか。投稿の先にいる人を想像し、必要なサポートを見極める
―返信の要否や内容は、投稿の何を手がかりに判断しているのでしょうか。
R:前提として、SNSへの投稿は私たちへのお問合せではありません。そのため、状況がくわしく書かれていないことがほとんどですから、限られた言葉や、公開されている範囲で確認できる情報から、どのような状況で、どのようなお気持ちで書かれたのかを読み取り、お声がけの必要性や内容を判断しています。
特に口座に関することは、背景がさまざまです。例えば、「口座をつくろうとしたけれど、できなかった」という投稿があっても、その理由まではこちらには分かりません。そのような場合、こちらで状況を決めつけず、確認できる範囲の情報をお伝えしたうえで、必要に応じて適切な窓口をご案内します。
リテール戦略デザイン部 R
A:ATM関連の投稿も同様です。文字だけのやり取りでは、お気持ちを正確に捉えることが難しい場合があります。安心をお届けできるよう、言葉の受け止められ方にも気を配りながら、ご返信の内容や表現を考えています。
―あえて声をかけないこともあるのでしょうか。
A:はい。「困った」という投稿でも、次の投稿で解決されていることが分かれば、押しつけるようにご案内する必要はありません。そのため、困りごとが解決されているかどうかもいつも確認しています。
R:会話が盛り上がっているところに、無理に入らないようにもしています。突然「横から失礼します」と公式アカウントからお声がけすると、煙たがられる原因にもなりますから。
状況を十分に把握できない場合は、コンタクトセンターへのお問合せをご案内する場合もあります。SNS上で解決することが目的ではなく、どうすればそのお客さまの困りごとが解決に近づくのかを考えて対応しています。
―AIに任せるという考え方もありますが、あえて人の手で対応し続けている理由を教えてください。
A:現状、AIだけで対応を完結させようとすると、文章が定型的になったり、声をかけるべきタイミングまで捉えきれないこともあると感じています。投稿文のわずかなニュアンスからお客さまの気持ちをくみ取り、チームで話し合いながら「一番寄り添える言葉」を選んでお声がけできること。それこそが、人が対応する意義だと考えています。
R:背景を想像するだけなら、AIにもできるかもしれません。ただ私たちには、これまでお電話やチャットで数多くのお問合せに対応してきた経験があります。だからこそ、短い投稿からでも「いま、お客さまはこういう状況でお困りだろう」と察知することができるのです。
また、金融犯罪などの専用窓口へご案内した際には、「SNSからご案内したので、これからお電話が入るかもしれません」と担当部署へ事前に共有することもあります。こうした裏側での連携まで含めて対応できるのは、現場の状況を知る社員が担っているからこそだと思います。
―口座関連の問合せ対応を行うコンタクトセンターは、2026年「HDI格付けベンチマーク(銀行業界)※」の「Webサポート」「問合せ窓口」両部門で最高ランクの三つ星を獲得しましたね。
R:ひさびさの獲得でしたので、とてもうれしかったです。AI活用が進む時代に、人にしかできないことは何かを、ワークショップを開くなどしてセンターで話し合ってきました。SNSアウトバウンドは今回の評価対象には入っていませんが、お客さまのお問合せを担当する部門として私たちの方向性は間違っていなかったのだと感じています。
- ※HDIの国際標準に基づく評価基準に沿って審査員がお客さまの立場から評価し、三つ星~星なしの4段階で格付けを行うもの。詳細はこちら
画面越しでも一人ひとりに合わせて届ける、言葉と距離感の工夫
―言葉の選び方で心がけていることはありますか。
A:ATMのインターホンでのお問合せはお電話ですので、こちらの声が直接伝わります。一方SNSは、声も、画面の先にいる方の表情も分かりません。ですから、BotやAIではなく、人間らしさを感じていただける表現を探しています。
不安が伝わってくる投稿には、ご案内だけでなく、気持ちに寄り添う言葉を添えています。基本的な返信文の型はありますが、投稿された内容に合わせて伝え方を調整していますね。自分が同じ状況だったら、どんな言葉をかけてもらえたらうれしいかを考えながら返信をつくっています。
R:必要に応じて、投稿内容から状況を想像することもあります。以前、新生活に関する投稿にお声がけした際には、ご案内の最後に「新生活が実り多いものになりますように」という言葉を添えました。
ちょっとした言葉から、安心や温かさを感じていただけたらうれしいですね。
専門用語をなるべく使わないことも心がけています。私たちが「ダイレクトバンキング」と呼ぶサービスを、お客さまは「ネットバンキング」や「インターネットバンキング」などと表現されます。そうした場合は、こちらがお客さまの言葉に合わせるようにしています。
一つの投稿から、より安心で便利なサービスへ
―SNSで見つけた声から、サービス改善に生かした事例はありますか。
R:印象に残っているのは、Myセブン銀行アプリのログイン画面についての投稿です。「数字のゼロだけフォントが少し違う気がする」と書かれていて、担当部署に確認したところ、実際に一部の表示フォントにズレがあることが判明し、即座に修正を行いました。数日後、その方が「本当に直っている」と投稿してくださったんです。お客さまは、私たちが思っている以上にサービスをよく見てくださっています。そうした細かな気づきをすぐ改善に反映できるのも、ソーシャルリスニングの大きなメリットです。
―こうした声は、社内でどのように共有されているのでしょうか。
R:月に1回、お客さま対応に携わる部門と関係する部署が集まる協議会で、SNSやコールセンターに集まるお客さまのご意見やご要望を共有しています。役員も参加しますので、お客さまのリアルな声が経営層にも届いています。さらに協議会での共有に加え、週に1回、SNS上のセブン銀行に関する話題やコメントをまとめ、会長・社長を含む全役員にも共有しています。SNS上の声は、お客さまや世の中の関心を知るうえで重要なものだと考えています。
また、金融犯罪対策の観点では、不正利用につながる恐れのある投稿については、関係部署と連携して対応しています。一時期、X上で「セブン銀行の口座を売ります/買います」といった投稿が、多数見つかることがありました。これに対し、口座売買は犯罪行為であることを返信で伝えたり、アカウントを通報したり、Xのプラットフォーム側の担当者との連携も行い、組織を越えて対策を進めました。このような取組みを続けた結果、現在は発生件数を大幅に抑えることができています。
―SNSでのお客さま対応における、今後の展望を教えてください。
R:口座売買への対応も、私たちだけでできたことではありません。今後もさまざまな部署と協働し、お客さまに安心してご利用いただける環境をつくっていきたいです。
また、私たちがご案内するだけでなく、お客さま同士で体験や気づきが共有されるような場になればとも考えています。以前、「キャッシュカードをなくした」という投稿に、別のお客さまが「スマホATMという機能がありますよ」と教えてくださっていたことがありました。そうしたやり取りが増えるといいなと思っています。
A:テキストだけのやり取りであっても、その先には人がいることを知っていただきたいです。セブン銀行には窓口を持つ店舗はありませんが、「画面の向こうにはきちんと人がいて、困ったときには向き合ってくれる」。そう感じていただけるよう、お客さまの投稿に丁寧に応えていきたいです。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
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