2026.8.18
「加害者」になる前に。セブン銀行がSNSで届ける、金融犯罪から未来を守るための盾
「100万円プレゼントします」「口座を貸すだけで即日入金」。SNSにあふれる甘い言葉の裏には、あなたが被害者にも、加害者にもなってしまう金融犯罪の罠が潜んでいます。セブン銀行では2026年5月より、SNSを起点とした金融犯罪とその対策に関する記事を毎月発信し続けています。なぜ今、銀行がSNSでの踏み込んだ発信に力を入れるのか。金融犯罪対策部で発信企画に携わる担当者に、記事制作の裏側にある危機感と、「被害者も加害者も生み出させない」という思いを聞きました。
目次
「ニセ警察官」に「口座売買」。実は身近にある金融犯罪
近年、金融犯罪は複雑化・巧妙化しており、被害額も増加傾向にあります。金融犯罪といっても、フィッシング詐欺、不正送金、クレジットカード不正利用、マネー・ローンダリング(資金洗浄)など多岐にわたりますが、なかでも社会的な影響が深刻化しているのが、SNSを悪用した特殊詐欺です。特殊詐欺の認知件数は、2025年には2万7,000件あまり、被害額は1,400億円超と、いずれも過去最悪を記録しました。前年の2024年と比べて件数は約1.3倍、被害額はほぼ倍増となっており、大きな社会問題となっています。
(出典:警察庁「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」を加工してグラフ作成)
特に最近では、「あなたに犯罪の容疑がかかっている」「疑いを晴らすために捜査が必要」といった言葉で不安をあおり、銀行ATMからお金を振込ませるニセ警察詐欺や、「簡単に稼げるバイト」という甘い募集に誘われて自分の口座番号を教え、そのままマネー・ローンダリングに巻き込まれてしまう手口が目立っています。
金銭を奪われる被害だけでなく、知らないうちに「被害者が加害者=犯罪者」になってしまうリスクも隠れています。「口座を高額で買い取ります」「簡単な在宅ワークです」といった甘い誘いに乗った結果、自分の口座が詐欺でだまし取ったお金の受け皿として使われ、マネー・ローンダリングに加担してしまうなど、軽い気持ちでとった行動が、大きな罪につながるケースもあるのです。
こうした金融犯罪を防ぐため、金融機関は対策を強化しています。セブン銀行もSNSでの注意喚起を続けてきましたが、2026年5月からは、手口の詳細や、犯罪に加担してしまうと何が起きるのかまで踏み込んで解説する記事の発信を始めました。
なぜ今、発信を強化するのか。定型的な「注意喚起」が抱える限界
―今回、金融犯罪の手口をくわしく解説する記事の発信に踏み切った背景には、どのような思いがあったのでしょうか。
A:一番の要因は、若年層を中心にSNSが犯罪組織との接点、たとえば闇バイトなどへの入り口になってしまっている現状への強い危機感です。かつて特殊詐欺といえば高齢者が言葉巧みにだまされる「オレオレ詐欺」のイメージがありましたが、SNSでターゲットを探す「副業詐欺」や「お金配り詐欺※」などの手口によって、20代~30代を中心とした若年層も被害にあうようになっています。
これまでも公式サイトやSNSで注意喚起はしてきましたが、「こうした手口にご注意ください」「こんな詐欺被害が発生しています」のような、受け手にとっては自分のすぐそばに潜んでいるとは実感しづらい注意喚起になっていたかもしれません。また、罪に巻き込まれた後の自分の身に起こる現実にまで想像が及んでいない人が多いことも現場で実感したからこそ、なぜダメなのか、犯罪に加担するとどうなってしまうのかまで発信することで、犯罪に加担する怖さについて知り、思いとどまってほしいと考えております。
- ※SNSで「〇〇円あげます」など現金や高額商品を無償で配ると装って被害者を誘い込む詐欺の手口。指定されたリンクから登録させ、個人情報を抜き取ったり、手数料名目で金銭を要求したりする。
金融犯罪対策部 A
―詐欺の被害にあうだけでなく、「加害者になる」というのは、どのような構造なのでしょうか。
A:典型的なパターンは、「口座を高額で買い取ります」「短時間で高収入のバイト」といったSNS上の誘い文句にのってしまうケースです。売却した口座が特殊詐欺でだまし取ったお金の受け皿として使われたり、指定された口座間で資金を移す作業を任されて、結果的にマネー・ローンダリングに加担してしまったりします。
セブン銀行では、日々お客さまの口座に不審な動きがないかをチェックし、金融犯罪の防止に取組んでいます。犯罪が疑われる行動があった口座は凍結されますが、口座の持ち主と実際に話してみると「犯罪だとは思っていなかった」という方も少なくありません。
―罪の意識がなかったということなんですね。
A:そうなんです。本人は「アルバイト感覚」や「不要な口座を売っただけ」と思っていても、法律上は犯罪収益移転防止法違反などに問われる犯罪行為です。凍結された口座が使えないだけでなく、今後どこの銀行口座も開設できなくなる可能性があります。それによって初めて自分の行動が犯罪につながっていたと気づく方が多いんです。
「届く言葉」を探して。毎月の記事制作に込める担当者の熱意
―先ほど若年層に情報を届けたいというお話がありましたが、若い世代の被害には、どのような特徴があるのでしょうか。
A:若い世代の方々は、生まれたときからSNSがあり、生活の一部になっています。世間の話題も友人の近況も、SNSを介して知ることがほとんどです。その流れのなかに、詐欺の投稿が自然な顔をして紛れ込んできます。そのため、警戒のスイッチが入りにくく、嘘の情報と本当の情報を見分けるのが難しい傾向があります。
だからこそ、「現金をプレゼントします」といった「おいしい話」が流れてきたときも、その情報が誰によって、何のために発信されているのかまで意識が向きにくいのだと感じます。「これをすると、誰が得をするのか」を考えるくせをつけるだけでも、詐欺や怪しい話であることに気づける場面はぐっと増えるはずです。
―SNS上の膨大な情報のなかで、記事を「自分ごと」として読んでもらうために工夫されている点はありますか。
A:まずは、素通りされずに読んでもらえるタイトルづくりと、目を引くワードを選ぶためのトレンドを意識しています。テーマ選定でも、実際の現場で起きているリアルな事例をベースにするなど工夫を重ねています。
書き方としては、「ダメです」「犯罪です」だけではお説教のように受取られ、「またこの話か」と流されてしまいます。なぜダメなのか、その先に何が起きるのかまで書いて、はじめて「自分ごと」にできるのだと思います。
そこで、なるべく身近な事例を提示して「すぐ近くに危険がある」と実感してもらえるような内容を心がけています。「そんなつもりはなかった」としても、現実には誰かの行動の先に別の被害者が生まれ、知らないうちに加害者になるという事態が起きています。そこまで想像力を働かせてほしいという思いから、銀行としてはあえて踏み込んで、「あなたは加害者になる可能性がある」といった強い言葉を使うこともあります。
SNSで発信している記事のメインビジュアル
―読み手に「怖い」と感じてもらうことを、あえて意図されているのですね。
A:怖がらせることが目的ではなく、印象に残ってほしい、と考えています。知らずに犯罪者になる可能性がすぐ身近にあるんだ、ということだけでも印象に残れば、怪しいDM(ダイレクトメッセージ)や募集を目にしたときに、「この話、おかしいかも」と一歩立ち止まってもらうことができるかもしれない――そんな思いで発信しています。
SNSで発信している実際の投稿文
―SNSでの発信のなかで、やりがいを感じるところをお聞かせください。
A:日々、被害者の方や、実際に口座を凍結された方から直接お話を伺い、さまざまなケースを見聞きしています。それを踏まえて、いま現場で起きていることをいち早く発信できる点が強みだと思っています。その発信がきっかけで詐欺被害を未然に防げたとしたら、それが最大の喜びです。
銀行口座は「生活の基盤」。守り続けることがセブン銀行の使命
―詐欺被害をなくすために、ほかの金融機関や官庁との連携も行われていますか?
A:はい。金融犯罪対策は当社だけで実現できるものではないと考えています。警視庁や警察庁などの警察機関と密に連携するとともに、ほかの銀行とも情報を共有しています。金融犯罪については会社の垣根を越えて、国内の犯罪をいかに摘発するか、情報をどう共有するかを一緒に議論し、対策を進めています。詐欺師や犯罪者という共通の敵に対して、業界全体で一丸となって取組めるのは、金融犯罪対策ならではかもしれませんね。
―ここまでSNSでの発信について伺ってきましたが、金融犯罪対策部として実現したい未来について教えてください。
A:詐欺にだまされる人がいない世界を実現したいです。SNSやデジタル社会が今後どう発展していっても、当社はお客さまが金融犯罪に巻き込まれないよう安全かつ効率的な決済インフラの提供を通じて我が国の金融システムの安定と発展に貢献していきます。それが、当社として果たすべき役割だと考えています。
―記事発信の対象である若い世代やそのご家族に、メッセージをお願いします。またSNS上での詐欺にあわないための防衛策があれば教えてください。
A:これからも、詐欺の手口やその変化をSNSで発信し続けていきますので、ぜひ定期的にご覧いただき、情報のキャッチアップに役立ててください。当事者となり得る若い世代だけでなく、ご高齢のご家族の方にも、お子さんを見守る立場の方もこうした情報に積極的に触れていただけたらと思います。
防衛策としては、SNSのDMのやりとりでも、お金に関わる話が出てきたら、まず一度疑ってみてほしいと思います。それから、「内密に」「今すぐに」「簡単に稼げる」といった言葉が出てくる話も、まず怪しいと考えたほうがよいでしょう。「そんなに簡単に儲かるのはなぜ?」「自分がこの情報を渡すことで、相手は何を得るのか?」と、想像を働かせてみてほしいと思います。また、いったんSNSを閉じて落ち着いて考えてみるのも大切です。その間に誰かに相談するのも良いと思います。
それでも、もし情報を渡してしまったときは、一人で抱え込まずにすぐに銀行や警察に相談することが、被害を最小限にとどめる一番の近道です。セブン銀行はATMの中だけでなく、皆さんのスマホの画面越しでも、お客さまの大切な未来を守る防波堤であり続けたいと思います。
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
その想いを超え、日常のみらいへ。
セブン銀行は、あなたの毎日をもっと便利に、もっと快適に。



