2026.10.1
実効性のある「有効性検証」へ。秋田銀行とセブン銀行グループが並走するリスク管理態勢の共創
コンビニや街角で、いつでも使えるセブン銀行のATM。その「当たり前の日常」を裏側で支え、日々巧妙化する金融犯罪から守り続けている存在がいます。セブン銀行グループにおいて、銀行事務受託や金融犯罪対策の高度化を担う「株式会社バンク・ビジネスファクトリー(以下、BBF)」です。
彼らが2026年、秋田銀行へと提供を開始した「コンサルティングサービス」を皮切りに、なぜ今、コンサルティングという新たな領域へ挑むのか。今回は、その背景にあるグループ共通の想いを、BBF執行役員の島田に聞きました。
目次
金融犯罪対策に立ちはだかる「実効性」の壁と現場の悩み
デジタル技術を活用した決済が普及し、さまざまな経済活動がどんどん便利になっています。その一方で、金融犯罪や詐欺の手口も巧妙化し、いわゆる「オレオレ詐欺」のような特殊詐欺だけでなく、SNSを介した口座売買や闇バイトなど、若年層もターゲットとした犯罪も増加傾向にあり、顧客の安心・安全、そして財産を適切に守ることが、金融機関にとって共通の課題となっています。
こうした社会問題を受け、国内でも金融犯罪やマネー・ローンダリング(資金洗浄)を防止するための取組みが強化されています。2028年に控えるFATF(金融活動作業部会)第5次審査や、金融庁による「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)に関するガイドライン」の高度化を見据え、業界全体で一歩踏み込んだ対策が求められています。
具体的には、これまでのリスク低減に向けた「態勢構築」のフェーズから、構築したシステムやルールが実際に有効に機能しているか、その効果が上がっているかを検証する「有効性検証」のフェーズへと移行している段階です。
近年、金融機関の課題となっているのが、「客観性の確保」と「実効性の向上」です。リスク低減のための専門人財の確保・育成も難度が高く、自行の取組みがどのように評価されるかといった不安や、見通しの立てづらさといった悩みが出てきており、外部の知見やリソースを活用したいというニーズが生まれています。
現場で培ったノウハウをコンサルティング領域へ
セブン銀行のグループ会社であるBBFは、セブン銀行の事務センターを前身として2014年に設立されました。現在は全国30以上の金融機関から業務を受託しています。さらに2024年1月には、複数の金融機関から委託を受けてフィルタリングや取引モニタリング等を行う「為替取引分析業」の許可を金融庁より取得しました。国内で許可を受けている事業者は、BBFを含め3社にとどまります(2026年8月時点)。
そのコンサルティング事業を統括するのが、BBF執行役員の島田です。セブン銀行の金融犯罪対策部で、実際の取引モニタリング態勢の構築や運用ルールの策定に携わり、コールセンターでお客さまと直接対話する現場も経験してきました。
株式会社バンク・ビジネスファクトリー 執行役員 島田 康彦
―BBFでは、具体的にはどのような事業を行っているのでしょうか。
島田:「BPO(業務委託)」「ITシステム開発」「コンサルティング」の3つの事業を主軸に展開しています。顧客は全国の地方銀行や信用金庫、ネット銀行など多岐にわたります。銀行業務に伴う事務作業のアウトソースや、マネー・ローンダリングをはじめとする金融犯罪を防止するためのモニタリングやフィルタリングに関する事務の提供も行っています。
BBFの主要事業
マネー・ローンダリングの対策を例に挙げると、お客さまの口座で不審な動きがないかを検知するシステムを使い、不審取引として検知したアラートに対し脅威度を測る「不審度」を判定し、金融機関に連携する仕組みを構築・運用しています。
―そうしたBPO(業務受託)の現場から、なぜコンサルティングへと領域を拡大されたのでしょうか。
島田:お話ししたようなマネー・ローンダリングの防止策というのは、いわばお金が動いてしまう最後の部分でストップさせるための施策であり、一連の流れでいえば“下流”にあたります。しかし、その手前の上流へアプローチし、リスクを見極めたうえで対策を提案できれば、金融犯罪をより根本的に防げるのではないか――そう考えたのがきっかけでした。
ルールの策定や検知精度の向上といったコンサルティング業務は、これまでにも個別に手がけていました。ただ、BBFでは日々の銀行実務の受託も行っているからこそ、現場の目線に即したオペレーションまで踏み込んだ提案が可能です。この実務に根差したノウハウをパッケージ化できれば、対策の策定(上流)から日々の監視(モニタリング/下流)までを一貫して支えることができ、より多くの金融機関の力になれると確信したのです。
マネー・ローンダリング対策の主な流れ
―コンサルティングにニーズがあると確信されたのは、どうしてですか。
島田:今、業界全体の課題となっている「有効性検証」については、各金融機関で取組みへのスピード感や熱量にばらつきが生じていました。リスクは金融機関によって異なりますし、“態勢整備は進めてきたけれど、その有効性をどのように測るのか、測ったとしてそれが本当に正しいのか判断が難しい”という声も耳にしました。
そこに外部のBBFが客観的な目線で検証に入ることで、こうした課題の解決に貢献できると思ったのです。また、マネー・ローンダリング防止策や銀行業務などを知っている当社だからこそ、「どこが危険なポイントなのか」「どのリスクを優先して対応すべきか」をある程度は見極められますし、そこに論理的な根拠を持たせることもできます。「金融機関ならでは」の悩みや課題に応えやすいと感じ、私たちがなすべきことだと確信しました。
「伴走」がもたらす自律の力。秋田銀行と進めるリスク管理態勢の共創
BBFは2026年4月、秋田銀行から「AML/CFT・金融犯罪対策分野のコンサルティングサービス」を受託し、本格的にコンサルティングを始動。同年7月にその共同取組みを公表しました。今回はその取組みの経緯について聞きました。
―秋田銀行との取組みはどのような経緯で始まったのでしょうか。
島田:秋田銀行のご担当者さまとは以前、私がセブン銀行の金融犯罪対策部に在籍していたときから面識がありました。BBFに出向した後に別件で秋田県を訪れる機会があり、ごあいさつを兼ねて、当社の取組みや事業についてご紹介させていただきました。その内容に興味を示していただいたことがきっかけとなりました。
―当時の秋田銀行が抱えていた課題はどのようなものでしたか。
島田:実効性をさらに高めるための次の一手を模索している、という状態でした。というのも、秋田銀行さまは金融庁のガイドライン等に基づいて、リスク評価書をとても丁寧に作成されていたんです。リスク低減のための態勢構築も実際の取組みもきちんと行われていて、正直教科書にしたいくらいのレベルでした(笑)。自力できれいに態勢を整えられていたからこそ、次の一歩が見えづらくなっていたのだと思います。
―BBFは秋田銀行に対し、具体的にどのような支援を行ったのでしょうか。
島田:昨年度のリスク評価書の分析とレビューを通して、秋田銀行さまが認識しているリスクの妥当性を客観的に評価しました。そのうえで、有効性検証へとつなげるための進め方を提示しました。現在は、新たなリスク評価書の作成に向けて、構成や書き方についても一緒に考えているところです。
―今回の取組みにおいて、秋田銀行からはどのようなお声や反響がありましたか。
島田:なにより嬉しかったのは、私たちの提案が、秋田銀行のご担当者さまが目指されていた「一歩進んだ有効性検証のあり方」と合致したことです。
島田:今回の取組みが、単年度のレビューで終わるものではなく、将来にわたって地域で安心を提供し続けるための持続可能な基盤づくりとなるよう、私たちはこれからも、客観的な目線を持った並走者として支援を続けていきたいと考えています。
金融インフラを守り抜く。セブン銀行グループが描く未来
―最後に、BBFとして、またセブン銀行グループとしての今後の展望をお聞かせください。
島田:コンサルティングサービスは、BBFにとって新たな挑戦であり、セブン銀行グループがこれまで培ってきた知見やノウハウを、多くの金融機関へ還元していくための重要な一歩です。私たちのトータルサポートを全国の現場へ届けることで、業界全体の高度化を支援し、セブン銀行グループとしての社会的責任を果たしていきたいと考えています。そのためにも、一つひとつのプロジェクトで着実に実績を積み上げていき、安心してご利用いただけるようなサービスに育てていくのが目標です。
全国の地方銀行や信用金庫、信用組合へとこのサービスを広げていくことは、金融犯罪の抑止へとつながります。ひいては、その金融機関を利用されるお客さま一人ひとりの大切な財産と、日々の安心を守ることへとつながっていきます。セブン銀行グループが培ってきたノウハウを活かして、業界全体でお金の安全が守られる社会づくりに寄与できたらと思っています。
まずは、より多くの金融機関にBBFを知っていただくことがスタートです。「金融犯罪対策コンファレンス」への出展などを通じて、私たちの知見と熱意をより広く発信していきたいと考えています。
金融犯罪対策コンファレンスの開催概要
受付開始 09:15/情報交換会 17:50-18:50
オンライン:Deliveru配信
※記事内容は公開時点での情報となります。サービス等の最新情報はセブン銀行ホームページにてご確認ください。
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